ビジネス環境や働き方が大きく変化する中、人と組織をめぐる課題は増えるばかりだ。近年、個人の学習・変化を促す「人材開発」とともに、「組織開発」というアプローチが話題になっている。入門書『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)は、注目のテーマだ。本記事では、これからの企業に不可欠な「人材開発」「組織開発」の第一人者であり、近刊『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の課題解決入門』(ダイヤモンド社刊)の著者でもある立教大学経営学部の中原淳教授に、若手に「選ばれる企業」について話を聞いた。【第一回はコチラ】
不条理に耐えることを強要する会社は選ばれない
――近年、企業での人材不足が深刻化しているようです。特に若手の採用や定着に課題を感じている企業は多いと聞きます。若手の働く価値観や意識は、どのように変わってきているのでしょうか。
若手にアンケート調査で「長期雇用を望みますか?」と聞くと「
でも、調査結果を鵜呑みにはできません。若手は「(
最近では新人が入社して一ヵ月も経たないうちから転職サイトに登
つまり、「転職チケット」を持ちつつ、一方で長期雇用を望むと言っている状態だ、と思っておいたほうがいいでしょう。
――「転職チケット」を持ちつつ、長期雇用を望む若手の価値観とはどのようなものなのでしょうか。
まず、長期間の「不条理」
すなわち、「理由」や「意味」
「たかが意味」と思うかもしれませんが、
「いいから黙ってついてこい」
「いま、ここに私がいる理由」や「この仕事をしている意味」
「腫れ物に触る」ように育成される若者たち
――「仕事の意味」を語るのは苦手なマネジャーが多いのではないでしょうか。
そうかもしれません。
若者に選ばれる会社の条件って、実はそんなに難しい話じゃないのではないかと思います。
それは「腫れ物に触る」ような感覚で若手と接するのではなく、仕事を渡して、「やってくれてありがとう」と伝え、そしてフィードバックをきちんとしていくことに尽きるでしょう。
つまり、普通に「対話」すればいい、ということです。
一方、若手サイドから見ると、多様な働き方とか、自分で仕事を選択していくことを重視する人が増えている気がします。
ですから、企業としては、ワークライフバランスを実現し、やりたい仕事ができる組織を作っていかないと、人が離れていくのではないでしょうか。
もちろんこれは一般論で、「本当はみんな答えを知っている」と思いますね。