相手がストレスフリーで返信できる4つのコツ
20万部のベストセラー、200冊の書籍を手がけてきた編集者・庄子錬氏。NewsPicks、noteで大バズりした「感じのいい人」の文章術を書き下ろした書籍『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』(ダイヤモンド社)を上梓しました。
実は、周囲から「仕事ができる」「印象がいい」「信頼できる」と思われている人の文章には、ある共通点があります。本書では、1000人の調査と著者の10年以上にわたる編集経験から、「いまの時代に求められる、どんなシーンでも感じよく伝わる書き方」をわかりやすくお伝えしています。
 Photo: Adobe Stock
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「忙しい相手」から確実に返信をもらう4つの工夫
仕事でお願いや確認事項があるとき、なかなか返信がこなかったり、意図が食い違った回答がきたりしてモヤッとすることってありますよね。
でももしかしたら、返信がこなかったり意図に合わない回答がきたりする原因は送り手(=あなた)にあるかもしれません。
今回は、相手が返信しやすくなる書き方のコツを紹介します。
1. 目的を明確にして、期限を決める
相手から返信がこなかったり、意図に合わない回答がきたりするのは、たいていの場合、「結局なにが言いたいかわからないメールだから」です。報告(共有)なのか、意見なのか、質問なのか、相談なのかを最初に明示すると、相手も内容を理解しやすくなります。
そのうえで返信(回答)がほしい場合は、回答期限を明記します。その際のポイントは2つあります。
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①返信がほしい旨をきちんと書く
ビジネスで「察して」は通用しません。返事がほしいなら「ご回答お待ちしております」「ご返信のほど、よろしくお願いします」など誰が読んでも返信が必要だとわかるように書きましょう。
②日程(締切日)は「最初」か「最後」に書く
回答期限が文章の途中に紛れ込んでいると、他の情報に埋もれてしまう可能性が高まります。日程(締切日)は「最初」か「最後」に書くのがおすすめです。
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2. 出てきそうな質問を先に潰しておく
回答はしやすいけれども「でもこれって…」と思う質問ってありますよね。
たとえば以下のメール。
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例:
A社の企画書、30日までの提出でよろしいでしょうか。
B社、C社の案件は前倒しで進んでいるので、30日まででしたら確実に対応可能です。
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この例では、相手(上司)は「30日っていうけど、B、C社もあるのに大丈夫かな?」と不安に感じるかもしれない、と予測を立てたうえで、相手の懸念事項を先に潰しています。相手の懸念事項を潰せば、相手はすぐに返信してくれるでしょうし、余計なラリーを減らせます。
3. 「箇条書き」で相手の負担を軽減する
複数の質問や確認事項がある場合は、箇条書きを使って整理しましょう。相手が各項目に対して返信しやすくなります。
このとき、区切り線を使って「ここからは相談(質問)」など、本文と見た目を差別化させると、相手の確認漏れを防ぎやすくなります。
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例:
以下、2点相談です。
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①田中さんへの寄せ書き、私が用意してよろしいでしょうか。
②来月のチームランチ、なにがいいでしょうか。
A:イタリアン
B:和食
C:中華
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いずれも明日中に回答いただけますと幸いです。
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4. 添付ファイルへの言及
これは返信のもらいやすさというより、相手のミスリードを減らすための工夫なのですが、「添付します」や「(添付)」を書くことで、添付ファイルをスルーされる可能性を減らせます。
「添付があることなんて文脈から判断できるでしょ」と思う人も多いでしょうが、意外と人は文面だけで判断して添付をスルーすることがよくあるものです。
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例: さきほどの会議でお伝えした企画書を添付します。特に3ページ目の市場分析と5ページ目の収支予測についてご確認いただき、ご意見をいただけますと幸いです。
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要するに、「返信しやすさ」を意識したメール作成のコツは、「相手の立場に立って考える」という何ともシンプルな回答になります。でもこれって、仕事においてもプライベートにおいても、やはりコミュニケーションの基本なのだと思います。
1988年東京都生まれ。編集者。経営者専門の出版プロデューサー。株式会社エニーソウル代表取締役。手がけた本は200冊以上、『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(22万部)など10万部以上のベストセラーを多数担当。編集プロダクションでのギャル誌編集からキャリアをスタート。その後、出版社2社で書籍編集に従事したのち、PwC Japan合同会社に転じてコンテンツマーケティングを担当。2024年に独立。NewsPicksとnoteで文章術をテーマに発信し、NewsPicksでは「2024年、読者から最も支持を集めたトピックス記事」第1位、noteでは「今年、編集部で話題になった記事10選」に選ばれた。企業向けのライティング・編集研修も手がける。趣味はジャズ・ブルーズギター、海外旅行(40カ国)、バスケットボール観戦。
※この連載では、『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』庄子錬(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集して掲載します。







