以下が、書籍『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』で紹介している解説と回答です。
AIの回答は正しいのか、確認してみましょう。
1時間かかる線香を30分で使う方法
「火をつけたら1時間で燃え尽きる線香」
この線香を使って、「1時間」以外の時間を計らないといけない。
それを実現させる方法が、ひとつだけあります。それは……
両端から同時に火をつけること。
この状態でスタートして線香が燃え尽きたとき、「30分」きっかり経ったことを意味します。
そこでまず、
2本目の線香の「片端」に火をつける
やがて、1本目の線香は燃え尽き、2本目の線香だけが残ります。
これが、開始から30分たったことを意味します。
つまり2本目の線香は、「30分の分だけ燃えた線香」なので、残っている部分は「30分で燃え尽きる線香」です。
30分かかる線香を15分で使う方法
燃え尽きるのに1時間かかる線香に両端から火をつけて、その半分の30分を計測できました。
そして手元には、燃え尽きるのに30分かかる線香があります。
45分を計測するまで、あと15分。
ここまで来れば、あともう一歩。
残った2本目の線香の、火がついていない側に火をつける(両端に火がついた状態にする)ことで、2本目の線香はあと15分で燃え尽きることになります。
最初の30分で1本目の線香が燃え尽き、次の15分で2本目の線香が燃え尽きます。
この手順を踏むことで、きっかり45分を計ることが可能になります。
1本目の両端と、2本目の片端に火をつける。1本目が燃え尽きたとき、2本目の「もう片端」に火をつける。2本目が燃え尽きたときが、スタートから45分が経過した瞬間。
ということで、AIの回答は正解でした。
この問題からの「学び」は?
この問題には、以下の3つの学びがあります。
①“不確実さ”の中で、確実な結果を導く発想
この問題の最大の特徴は、「線香の燃焼速度が一定ではない」という不確実性があることです。ふつう、「不確か」なものでは時間は測れないと思いがちですが、「両端から火をつければ、どんな不規則な燃え方でも30分で燃え尽きる」という性質に気づけるかどうかが、この問題のカギとなっていました。この「不規則だけど、両端燃焼なら一定時間で終わる」という“逆転の発想”を得られる学びがあります。
②リソースの“使い方”が問われる
与えられた道具は「線香2本と火」だけ。その中で、単に使うのではなく、「どこに火をつけるか?」「どのタイミングで?」「1本で何分を測るかではなく、組み合わせでどう測るか?」というように、「限られたリソースの使い方」次第で、まったく新しい解決策が生まれます。これはビジネスや人生にも通じる発想で、「足りない」ではなく、「どう使うか」で道がひらけるという教訓にもつながります。
③時間=物理的な長さではないという思い込みの打破
多くの人は最初に「線香の半分が30分」と考えがちですが、この問題では、「線香の“物理的な長さ”と、線香の“時間的な燃焼”が一致しない(=比例しない)」という前提が、すでに明示されています。つまり、「長さ=時間」という先入観を捨てるところから、論理的思考が始まるのです。
このように、「普通のルールでは解けないが、制約を逆手にとることで正解にたどり着ける」という学びが楽しみながら得られる問題でした。
※本記事の問題は書籍『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋しています。同書ではこういった問題を67問紹介しています。