
【東京】米国は今年、中国がレアアース(希土類)輸出規制を課した際、同国がこの金属を強硬な交渉のツールとして使えることを知った。日本には既視感があった。15年前に同様の圧力を受けていたからだ。
日本は2010年、今後に備えることを誓い、数億ドルをオーストラリアの供給源に投資してきた。
しかし独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、昨年時点で日本は電機製品や自動車、兵器に幅広く使用されるレアアースの輸入の約70%を依然として中国に依存していた。中国が今年4月にレアアースの輸出を制限した際、日本の一部の自動車メーカーは再び打撃を受けた。
日本の経験は米国の教訓となる。米国防総省は最近、米国内でレアアースの採掘・精製ができるよう、ラスベガスを拠点とするMPマテリアルズへの出資で合意した。
日本は、依存度を部分的に引き下げても中国は依然として大きな影響力を持つことを認識した。一方で、依存から完全に脱却するには数百万ドルではなく、数十億ドル規模の費用がかかる。危機が過ぎ去り、中国が日本への輸出を再開すると、供給源の多様化を急ぐ必要性は薄れていった。
これは米国で危機感が欠如することの危険性を示している。今年に入って中国のレアアース輸出規制の影響を受けた米国は、最近、通商協議の一環として中国に輸出再開を認めさせた。
東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授は、コストを度外視すれば中国への依存度を下げることは可能かもしれないが、企業は高コストを受け入れることはできないとの見解を示した。
鈴木氏は、日本は「今まで脆弱(ぜいじゃく)性があるということを理解した上で、中国に依存している。そこはどうしようもないというのが結論。他にチョイスがない」と述べた。
40年前、日本人科学者の佐川眞人氏がネオジムと呼ばれるレアアースを含む最も強力な永久磁石を発明した。この画期的な発明が、今日広く使用されている磁石の基礎となっている。
今世紀初頭までに、17種類のレアアースの供給と精製、レアアースを使った磁石の製造を支配するようになったのは、日本ではなく中国だった。2009年には日本のレアアース輸入は85%が中国からだった。
中国は外交的な手段を手にしていることに気づき、2010年にそれを使用した。その年、日本が支配し中国が領有権を主張する島々の近くで、中国漁船が日本の巡視船と衝突した。日本が中国漁船の船長を逮捕し、外交的な対立に発展した。その際、レアアースを使用する日本企業は深刻な供給障害があったと明らかにしたが、中国側はいかなる措置も取っていないとした。