中国が米国を追い抜きレアアース精製でトップになった理由トランプ大統領はレアアース鉱物が豊富なグリーンランドの獲得について言及している
Photo: Oscar Scott Carl for WSJ

 ドナルド・トランプ米大統領は、ウクライナ、グリーンランド、さらにロシアとさえも取引をまとめることで、スマートフォンからジェット戦闘機に至るまで、あらゆるものに米国が必要とする鉱物を確保したい考えだ。

 ただ、トランプ政権が、ウクライナと協議中の鉱物資源権益を巡る協定のような合意を通じて米企業のためにより多くの鉱山を確保したとしても、その鉱物の大半を、地政学上の主要なライバルである中国に送って加工しなければならないかもしれない。

 この難問の典型例がレアアース(希土類)だ。防衛システムに使われるこの鉱物群は、トランプ大統領に言わせれば、彼がウクライナで取引をまとめる上での焦点となっている。

 トランプ氏は「われわれはレアアースを大いに必要としている。彼ら(ウクライナ)は素晴らしいレアアースを持っている」と最近、閣議前に述べた。

 実のところ、米国では既にレアアース供給は潤沢だが、精製を中国に頼っている。その理由は、米国が鉱物加工能力の多くを失う一方で、中国がレアアースやコバルト、銅、その他の多くの鉱物の精製において、世界を支配するようになったことにある。

「掘って、掘って、掘りまくれ(Drill baby drill)に焦点を合わせるのは正しくない」と、レアアース業界コンサルタントのジョン・オーメロッド氏は指摘した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、コンゴ民主共和国(旧ザイール)が反政府勢力との戦闘の支援の見返りに、コバルトや銅などの貴重な鉱物へのアクセスを提供することを米国に申し出たと報じた。しかしそのような取引は、採掘した鉱物をどこで加工するのかという問題を生じさせる。

 トランプ氏は今月行った議会上下両院の合同会議での演説で、「重要鉱物とレアアースの生産を劇的に増やすための歴史的行動」を米国で計画していると述べた。先週には、国内の鉱物に関する新プロジェクトのため、認可手続きを簡素化し、政府による資金提供を増やす大統領令に署名した。こうした新プロジェクトには、加工施設も含まれる。