ドナルド・トランプ米大統領は関税について、米国市場へのアクセスを得るための通行料であり、その額を決められるのは自分だけだと考えている。そして今度は、人工知能(AI)半導体を中国に輸出する特権らしきものの代金を米企業に課すとしている。これは民間企業に対する政府統制に向けたさらなる一歩と銘記すべきだ。米商務省は今春、「国家および経済の安全保障」を確保するという名目で、米半導体大手のエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の中国向けAI半導体の販売に制限を課した。中国の軍民融合戦略の下で、同国企業は政府の軍事力および情報収集能力を向上させるための技術獲得を求められる。このような輸出規制がエヌビディアの中国事業に損害を与えたため、同社(時価総額4兆4000億ドル=約650兆円)は、規制の緩和をホワイトハウスに働き掛けた。すると米政権は先月、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を緩和することを交換条件として、輸出制限を解除してしまった。
【社説】トランプ氏、今度の望みは輸出税導入
中国への半導体販売許可が欲しいなら、トランプ氏に代金を渡す必要
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