推定で400億ドル(約5兆9300億円)近い純資産を保有する曽毓群(ロビン・ゼン)氏(57)は、間違いなくスーパーヨットを買うだけの経済的余裕はある。しかし本人はそれを望んでいない。車載電池で世界最大手の寧徳時代新能源科技(コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー、CATL)の創業者で会長でもある曽氏は、習近平国家主席の中国で成功している新しいタイプの大物実業家を象徴している。控えめで、慈善活動に携わり、国家の公式見解に同調する姿勢を示している。「『なぜ人生を楽しまないのか。ヨットだって買えるじゃないか』と人から言われた」。5月のCATLの香港上場前に、ノルウェーの政府系ファンド(SWF)が手掛けた動画ポッドキャストで曽氏はそう話した。「自分はいわゆる金持ちにはなりたくない」と彼は言う。「良い社会を作るため、この富を分かち合いたい」
中国で新しいタイプの実業家、CATL創業者が台頭した訳
資産400億ドルの曽毓群氏、習主席の中国で頭角現す
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