
インフルエンサーとしてさまざまなメディアで活躍する岸谷蘭丸さんは、イタリアの名門大学の現役生であり、高校から米国へ海外留学した経験も生かして、海外留学支援サービス「MMBH留学」を立ち上げた実業家でもある。そんな彼に、「日本は学歴社会だと思うか」を聞いてみた。(教育エディター 江口祐子、ダイヤモンド・ライフ編集部)
日本の大学は学費が安すぎる
――最近は学歴を見ない企業の採用が増えたと聞きますが、一方で「学歴は大事」という声も根強いです。そもそも日本って「学歴社会」だと思いますか?
僕は、日本が学歴社会だとは全く思わないですね。どこの国でも学歴はそれなりに重要だけど、日本が特別に学歴偏重ってわけじゃない。むしろ海外の方がよっぽど学歴社会ですよ。
例えばアメリカは本当に学歴社会です。大卒じゃないと、まともな就職口がほとんどない。みんな当然のように大学院まで進むし、大学で学んだことが実務に直結している。大卒者は、「ホワイトカラー的な仕事をやるための兵士」として、しっかり訓練される。
それに比べて日本の大学って、学んだことを実社会であまり生かせない。だから高卒でも大卒でも、現場で求められるスキルにそんなに差がない場合も多い。その結果、「とりあえず大学は出とくか」みたいな空気があると思います。
それに、日本の大学は学費が安すぎる。アメリカだと大学4年間で数千万円かかるけど、日本なら年間100万円ちょっと。しかも、入学のハードルが低くて、入ろうと思えばどこかしらの大学には入れる。大学の数だけ増えて、質が追いついていない。
特に、私立の文系学部は問題だと思う。早稲田も慶應も、学生数が多過ぎる。もっと人数を絞って、学費を上げてでも、本当に学びたい人だけが学ぶ環境にすべきだと思います。
今度、マジで早稲田か慶應の学長と議論したいと思ってることがあって。学生数を今の10分の1にして、学費をすごく上げる。お金がないけど優秀で学びたい人には、きちんとした奨学金制度を用意する。教える側の給料も上げて、学生との関係をもっと密にする。そういう改革って無理なんですかね?って聞きたい。今の大学教育って薄利多売モデルで、結果として教育の質が落ちているように感じるんです。