遺言内容がシンプルなら手書きで自作してもOK
無用なトラブルを生みそうなことは極力避ける!

【Q】ほかにどんな人が遺言書を書くべき?

 家族構成が少し複雑な方は、遺言書を検討してください。再婚されており、前の配偶者との間に子どもがいる場合などです。

 ご自身の法定相続人の中に、行方不明者や、長年疎遠になっている方がいる場合も、要注意です。遺言書がない場合、法律で定められたすべての相続人が遺産分割協議に参加する必要があります。もし、連絡が取れない相続人がいると、その人を探し出して手続きを進める必要があるためです。

【Q】遺言書は手書き? それともパソコン?

 遺言の内容がシンプルなら、すべて手書きで作成する「自筆証書遺言」のほうが手軽です。遺言書の全文、日付、氏名を遺言者本人が自筆で書きます。捺印も必要です。費用がかからず手軽ですが、書き方が要件を満たしていないと無効になるリスクや、紛失・隠匿の可能性があります。

 もう一つの形式が「公正証書遺言」です。公証役場で公証人が遺言者の話を聞き取り、内容を正確に文書化してくれる遺言書です。費用は10万~20万円。弁護士などに遺言書の原案作成を依頼することもでき、その場合は報酬もかかります。

 公正証書遺言なら、書き方の不備で無効になる心配はありません。また、原本は公証役場で厳重に保管される点も安心です。

【Q】遺言書には何を書けばいい?

 下の図に、夫が妻に全財産を相続させる場合の、自筆遺言の記入例を載せました。

手書きでOK!「ざっくり遺言書」のススメ

 誰にどれだけの財産を遺すかだけでなく、遺言執行者(遺言者の代わりに手続きを行う人)も指定しましょう。遺言執行者が指定されていないと、家庭裁判所で選任する手間が増えてしまいます。

【Q】銘柄ごとに誰に相続するか指定したい!

 投資家の場合、銘柄別に人を指定して相続させたい人もいますが、保有銘柄や金額は日々変動するもの。「A社株を長男に、B社株を次男に」といったように、個別銘柄を特定して書くのはトラブルのもとです。原則として避けましょう。

 亡くなった後の株の分け方や運用については、「付言事項」として書き添えるのがおすすめです。法的な効力はありませんが、自分の思いを伝えることができます。相続人が複数いる場合は、「全ての財産を、妻に2分の1、長男に2分の1」というように、包括的に書くほうがいいでしょう。