米国防総省は数カ月前から、ウクライナによるロシア領内への長距離ミサイル攻撃をひそかに阻止している。米当局者らが明らかにした。国防総省は今春の後半以降、未発表の高官レベルの承認手続きを通じて、ウクライナが米国製の長距離陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)をロシア領内の標的に発射することを阻止してきたという。ウクライナは少なくとも1度、ロシア領内の標的にATACMSを使用しようとしたが拒否されたと、米当局者2人が語った。ホワイトハウスがロシアに和平交渉の開始を働きかける中、国防総省が長距離攻撃に対する拒否権を行使してウクライナの軍事作戦を制限するという構図が浮かび上がった。同省のエルブリッジ・コルビー国防次官(政策担当)は、米国製の長距離兵器や、欧州同盟国からウクライナに供与されているが米国の情報と部品に依存する兵器について、ウクライナから使用要請を受けた場合に可否を判断する「審査メカニズム」を策定した。