考えすぎなくなった」「ストレスが減った」「先延ばし癖を克服した
そんな感想が世界中から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも1万3000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。
本記事では、ライターの照宮遼子氏に、「仕事の効率化の落とし穴」について寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【効率化】三流は「仕事を抱え込む」、二流は「全部同時にやる」、では一流の共通点は?Photo: Adobe Stock

残業が減らない本当の理由

「今日こそは早く帰ろう」と決意したはずなのに、気づけばまた残業している。

 資料をまとめている最中にメールの通知が鳴り、つい返信。終わらぬうちに今度はチャットのメンション。
 ようやく戻っても、さっき何を考えていたのか思い出せない。
 結局どれも中途半端なまま、「やらなきゃ」が頭の中で渋滞していく。

 仕事はしているのに、1つも片づいた実感がなく、「今日も何も終わらなかった」とため息だけが残る。

 忙しさそのものよりも、むしろ心を消耗させるのは、この「やり残した感」なのかもしれない。

頑張っているのに
成果が出ない人の共通点

 数年前の私は、まさに頭の中がカオス状態だった。
 パソコンのモニターにはびっしりと付箋が貼られていた。
 タスクごとに書いたつもりが、気づけば色とりどりの紙切れが重なっている。

 これが一枚でもどこかに行ってしまったら――そう思うとゾッとした。
 頭の中と同じように、デスクの上も混乱でいっぱいだった。

 当時の私は「要領が悪いから残業が増える」と思い込んでいた。
 だが、本当は違う。
 すべてを抱え込み、同時に処理しようとするからパンクしていたのだ。

 頑張っているのに成果が見えない――その苦しさを自らつくり出していたのである。

今ある仕組みを整える
トヨタ発のシンプルな方法

 著者のニック・トレントンは本書でこう述べている。

「カンバン方式」の目的は工場の生産効率最大化だ。これを個人の仕事に応用した場合、現在の仕事の仕組みやプロセスを調べ、改善するのに最適だ。
――『STOP OVERTHINKING』(P.130)より

 そもそも「カンバン方式」とは、トヨタ生産方式の一環として生まれたワークフローを管理する視覚的な仕組みだ。

 ワークフローを「見える化」し、1つの作業を最後までやりきる。

 そして、流れの中でどこに滞りがあるかを見極めて管理し、必要に応じてフィードバックループを設定する。
 最後に、まわりの人と一緒に取り組み、試行錯誤しながら前に進んでいく。

「効率を上げる」と聞くと、どうしても新しい方法をゼロからつくることを想像してしまう。

 だが、「カンバン方式」の本質はそこではない。
 ある仕組みを少しずつ改善していくことにこそ意味がある。

 その入口となるのが、最初の「見える化」だ。
 頭の中の渋滞を整理し、流れをはっきりさせるだけで、毎日の感覚は驚くほど変わっていく。

成果を遠ざけるのは
「努力不足」ではなく「仕組み不足」

 振り返れば、当時の私に足りなかったのは、まさにこの仕組みだった。
 どれも中途半端なまま終わりきらず、達成感を得られなかった。

 もしあのとき、タスクを「見える化」して順番を整えていたら、残業続きの日々もずいぶん違ったのかもしれない。

 多くの人は、状況を変えるには「ゼロから完璧な方法をつくらなければ」と考えてしまいがちだ。

 けれど、実際に必要なのは、そんな大げさなことではない。
 すでにある流れを「見える化」し、少しずつ整えていくだけで十分なのだ。

心を消耗させない
タスクに振り回されない仕事術

「カンバン方式」の考え方は、日々の業務に追われるビジネスパーソンにこそ効果を発揮する。

 たとえば、メールやチャットの通知。反応するたびに作業が途切れ、ようやく元の作業に戻っても、どこまで進んでいたか思い出すのに時間がかかる。
 仕事が終わった気がしないのはこの繰り返しのせいだ。

 そんなとき、タスクを「見える化」してみると、今やるべきことが一目でわかり、途中で別の案件に割り込まれても、「まずはこれを終えてから」と立て直しやすくなる。

「カンバン方式」は、パソコンに貼りついた付せんをもっと整理された形で並べ直すようなもの。どこに何があるか見えるだけで、不思議と心が落ち着く。

「仕組み」を持つ人だけが
成果と余裕を手に入れる

 結局、私たちを疲れさせているのは、忙しさそのものではない。
 頭の中で「まだ残っているよ」とささやいてくるやり残した感覚だ。

 でも、不思議なもので、タスクを見える形に並べるだけで流れは変わる
 終えた分が目に入ると、進んでいると思えるようになるのだ。

 新しい仕組みを大げさにつくる必要はない。
 いまある流れをちょっと整えるだけで、仕事の手応えも気持ちの軽さも変わってくる。

 効率化とは「速さを追い求めること」ではなく、「迷いを減らすこと」なのだ。

 一日の終わりに「今日も何も終わらなかった」と嘆くのか、「ここまで進めた」と胸を張るのか。

 その分かれ道は、仕組みを持っているかどうかだ。
 その小さな改善が、いつのまにか大きな成果につながっていく。

(本稿は『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)