「考えすぎなくなった」「ストレスが減った」「先延ばし癖を克服した」
そんな感想が世界中から届いているのが、世界150万部突破・39か国刊行のベストセラーとなっている『STOP OVERTHINKING ―― 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』だ。Amazon.comでも13,000超のレビューで世界が絶賛する話題書がついに日本上陸。
本記事では、ライターの照宮遼子氏に、「仕事を停滞させる思考グセ」について寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍出版局)

午前中を占領する“一本の電話”
朝から「やらなきゃ」と頭の中で繰り返しているのに、なぜか手が伸びない仕事がある。
たとえば取引先への一本の電話。
内容はただの確認で、数分で終わるはずなのに、気づけば午前中を過ぎてしまう。
メールならすぐに送れるのに、電話となると、なぜか急に腰が重たくなる。
「今は相手が忙しいかもしれない」
「午後のほうが落ち着いて話せるかもしれない」
――そんな妙な想像が、いつのまにか、もっともらしい理由に変わっていく。
そしてようやく電話をかけてみれば、あっけなく終わってしまった。
残るのは「なぜあんなにためらっていたのか」という後悔だけ。
こうしたことは電話に限らない。
上司への報告や日程の調整なども、やれば一瞬で済むのに、つい後回しにしてしまい、頭を支配されることは少なくない。
行動を止める「根拠なき想像」
私は長いあいだ、こうした先のばしを「相手への配慮」だと思い込んでいた。
けれど冷静に考えれば、その多くは根拠のない想像にすぎない。
「忙しいかもしれない」
「準備が足りないかもしれない」
――実際には確かめてみなければわからないことばかりだ。
それでも人は、「かもしれない」をもっともらしい理由に仕立ててしまう。
その一つひとつは小さな先のばしに見えても、積み重なれば「考えすぎ」という習慣を強めていく。
起きてもいない未来に
とらわれる心
人の想像は、しばしば最悪のシナリオに傾く。
「怒られるかもしれない」
「うまくいかないかもしれない」
まだ起きてもいない未来に不安を投影し、現実以上にハードルを高くする。
その結果、本来なら数分で終わる単純な仕事でさえ、頭の中では大きな障害物に変わってしまう。
妙な想像が強まると、現実の見え方まで歪んでしまい、誰も気にしていないのに「失敗すれば評価が下がる」と思い込む。
確認ひとつにも踏み出せず、行動より思考が先走り、ますます動けない自分を強めてしまうのだ。
ビジネスを停滞させる
「考えすぎ」という習慣
こうした「考えすぎ」は、個人の心理にとどまらず、仕事そのものを停滞させる。
ちょっとした確認を後回しにして判断が滞る、資料のチェックに時間がかかる。
そうした小さなためらいが積み重なるほど、プロジェクトの進行は目に見えない形で足を引っ張っていく。
行動より「考えすぎ」に時間を費やすことは、組織にとっても大きな損失になる。
効率を下げるだけでなく、信頼関係やスピード感にも影響する。
先のばしの習慣は、やがて成果を阻害するビジネスリスクへと姿を変えていくのである。
考えすぎは「性格」ではない
『STOP OVERTHINKING』の著者ニック・トレントンもこう述べている。
だが、安心してほしい。この習慣は変えられる。
――『STOP OVERTHINKING』(P.45)より
「性格だから仕方ない」と思い込んでいたものが、実は習慣にすぎないと知れば、心の負担はぐっと軽くなる。
本書によれば、不安症の遺伝率は26%にとどまるという。
つまり大部分は環境的な要因によるものであり、これらは変えていけるのだ。
だからこそ、「私はこういう人間だから」と決めつける必要はないし、むしろそこで思考を止めてしまうほうがもったいない。
習慣なら、時間をかけて少しずつ変えていける。
そう思えるだけで、前に進む力が戻ってくるのだ。
変えるべきは、自分の習慣
さらに本書では、「考えすぎ」を断ち切るには、行動面だけでなく、ストレスの扱い方や時間の使い方、心と体の落ち着かせ方、思考や行動パターンの見直し、さらには態度の選び方に至るまで考えていく必要があると説いている。
つまり本書が示すのは、単なる効率化のテクニックややる気の出し方ではない。
「考えすぎ」のループを根本から断つために、日常の土台そのものをもう一度組み直していく取り組みなのだ。
そうして「考えすぎ」は、避けられない「癖」ではなく、自分でコントロールできる「対象」へと変わっていく。
一つひとつの習慣が思考の流れを変え、やがて大きな変化へとつながっていく。
変化は劇的ではなくても、確実に日常を軽くしていくのである。
考えすぎに振り回されない日常へ
考えすぎは、気づかないうちに時間とエネルギーを奪っていく。
けれど、その流れは小さな一歩で変えられる。
迷いは減り、行動は軽くなり、頭の中に余白が戻ってくる。
その余白が集中を支え、成果を後押ししてくれる。
かつては頭を占領していた一本の電話も、やがては自然に片づけられるようになる。
「考えすぎてしまう自分」は、避けられない「運命」ではない。
少しずつ軽くしていける「習慣」なのだ。
(本稿は『STOP OVERTHINKING ――思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』に関する特別投稿です)