米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)が、ガソリン車の製造を10年後には中止すると宣言し、世代を超えて地球を守るという新たな使命への道筋を示したのは、つい最近のことだ。「当社はより良い未来をつくる機会に恵まれていると同時に、率直に言って、その責任も負っている」。バーラ氏は2022年の講演でこう述べた。世界で数年以内に30モデルの電気自動車(EV)を発売するとし、その後間もなくGMの北米工場の半数以上をEV生産に切り替えると約束した。新市場の覇権を取ると同時に地球を救うという野心的な探求は、その後失速している。自動車業界の中でも特に声高にEV推進を唱えていたGMは、政府の排ガス規制や燃費基準に抵抗する主要勢力へと立場を変えた。政府の規制はここ数十年間、消費者市場をよりクリーンで燃費効率のよい車両へと向かわせる原動力となった。