米政府、オバマケア補助金めぐる政治的リスクを懸念共和党は政府機関閉鎖により中間選挙で下院の過半数維持が難しくなる事態を懸念している
Photo: Allison Robbert for WSJ

【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領は、政府機関閉鎖を巡る情報戦に勝利しているとの揺るぎない自信を示している。しかしその裏で、議論の中心にある問題が共和党に政治的な弱点をもたらすのではないかと、政権は懸念を強めている。

 複数の政府関係者によると、顧問らは共和党が医療補助金の期限切れを許すことで非難を浴び、来年の中間選挙を前に数百万人の米国人にとってコストが上昇することを懸念している。

 関係者らによればホワイトハウス内部では、医療保険制度改革法(ACA、通称オバマケア)の補助金増額を延長する案について側近らが協議している。トランプ氏はそうした提案を支持するかどうかまだ決めていないという。共和党は、政府機関が再開された後でなければ、この問題について民主党と交渉しないと述べている。

 舞台裏での懸念は、トランプ氏と側近らが公に示している強気発言とは対照的だ。トランプ氏は、ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務(民主、ニューヨーク州)がソンブレロ(メキシコの帽子)をかぶった人工知能(AI)動画を投稿した。また政府機関の閉鎖は、政権が大幅な削減を行い、民主党が支持するプログラムを標的にする「前例のない機会」だと述べている。政権は、多数の連邦職員の解雇を準備している。

 この新たな動きはトランプ氏を窮地に追い込んでいる。同氏はホワイトハウス復帰以来最も結束した民主党の抵抗を打ち砕く決意を固めている。しかし同時に、自身の政策課題と中間選挙での共和党過半数を脅かす差し迫った問題の解決策も見つけなければならない。トランプ氏の争い好きの性格と、取引を成立させようとする熱意が対立している。

 共和党のストラテジスト、ウィット・エアーズ氏は「重要な問題になり得る」とし、「それが実際に問題になるかどうかは選挙の行方次第だ」と述べた。

 トランプ氏の顧問らは今週、上司が長らくオバマケアの廃止を求めてきたとはいえ、補助金の期限切れを許せば、インフレと生活費上昇への有権者の不満を主な原動力として当選した大統領にとって政治的な頭痛の種になりかねないと非公式に認めている。雇用市場の低迷と根強いインフレを背景に、有権者は最近の世論調査でトランプ氏の経済運営への不満を深めている。