【オピニオン】中国は経済を自力で立て直せるかPhoto:Pool/gettyimages

 中国の経済危機はますます深刻化している。世界各地でさまざまな経済的・政治的混乱が起きているため、このことを見落としがちだ。そこで本稿が注意喚起になればいいと思う。

 中国政府が今週発表した9月の購買担当者指数(PMI)では、悲観的な見方は以前より若干弱まったものの同国の各産業が縮小モードにあることが明らかになった。同指数の調査は、中国経済を支配する大手国有企業の景況感を捉えたものだ。

 より多くの中小・民間企業を調査対象とした別のPMI調査では、やや楽観度が高かった。ただ、こうした企業は、中国とその貿易相手国、特にドナルド・トランプ氏が政権を握る米国との貿易交渉次第で状況が浮き沈みする立場にある。こうした楽観が続くと考えてはいけない。

 長らく中国の経済成長を主にけん引してきた固定資産投資は今夏、3カ月連続で減少した。「伸びが鈍化した」にとどまらず、「減少した」のだ。不動産投資は何年も落ち込みが続いている。2020年以前に史上最大のバブルの一つとされた不動産市場を中国政府が抑え込もうとしているためだ。新たな懸念すべき傾向は、製造業やインフラへの投資も減少していることだ。

 直感に反するように聞こえるかもしれないが、ここまでは悪くないという感じだった。驚異的な規模の債務に支えられた投資主導の旧来の経済モデルは、今世紀初めの中国に驚くべき経済成長をもたらした。だが、そのモデルは根本的に不安定なものでもあった。不動産バブルはそれを警告する予兆の一つだった。もう一つの予兆は、増加する輸出への慢性的な依存であり、この状況がいずれ中国の貿易相手国の不興を買うことは確実だった。

 中国政府が非生産的な投資への依存を減らすことは、より安定した経済モデルに向けた第一歩だ。次のステップは、無用の長物を対象とした巨大公共事業や国有企業の無駄遣いといったことへの対応から、国内消費および、起業家精神と生産性に富む民間投資への転換であるべきだ。

 これが実現していないことが、中国の経済的な苦境の原因だ。消費者は悲観的な見方に圧倒されているように見える。住宅価格の修正によって中間層の富が前例のないほど減ったことを考えると、彼らを責めることはできない。公式の経済統計に表れている消費の好調さはおおむね、消費者が白物家電から携帯電話に至るまでの製品を購入する際に政府が出す補助金によって、人為的にもたらされている結果だ。これは経済に関する問題の解決策にはなり得ない。

 この辺りから、中国政府は全くつじつまが合わない状況へと陥る。