培ってきた「伝える力」を
生かし、価値創造を推進
一方で、デジタル化や後継者不足による業界紙の廃刊など、対応すべき課題も少なくない。東伸社では専門誌・業界紙の電子配信システム「NewSpeed」によるネット対応を進めつつ、強みを生かした事業の横展開にも注力している。
その一つが、従来のリアルな配送とデジタルとのクロスセル戦略の提案だ。
例えば、一時期はメール一斉配信へのシフトが進んだDMについても、ジャンクメールとして廃棄されるなど、メール開封率低減が課題として浮かび上がる。そこで、「潜在顧客の有望度などにも合わせ、メール配信とリアルなDM発送を組み合わせるなど、アナログとデジタルのダブルでアプローチするケースが増えています」と井辺氏。同社では媒体の特性に合わせた配送方法など、コストを含めた最適な情報発信の提案を進めている。
プラスチックの代わりにトレーシングペーパーを使った「トレペエコファイル」を開発。企業が進める環境対応を発信するツールとして提案
二つ目が企業の情報発信に伴う新たなサービスの創出だ。「商品やサービスにおいて、思いやこだわりを効果的に伝えたいと考えている企業さまに対し、印刷や企画からコンサルティングやサポートができればと商談を進めています」。
井辺氏がこだわるのは、情報発信をトータルで手がけてきた知見を生かした価値創造だ。「デジタル化が加速しても、リアルだからこそ伝わるものもあります」とし、「モノを動かす+伝える」で付加価値を提供していきたいと意気込む。
70年間、紙と共に「伝える力」を発揮してきた同社ならではの、独創的なサービス展開に期待したい。
(「しんきん経営情報」2025年11月号掲載、協力/興産信用金庫)
事業内容;業界紙配達をはじめ各種メーリングサービス
従業員数:100人
売上高:21億円(2025年3月期)
所在地:東京都江東区森下3‐12‐5
電話:03‐5638‐0250
URL:toshinsha.co.jp







