印刷から配送までトータルでサポート デジタル化を見据えた新サービスも創出

夕刻が迫ると、刷り上がった新聞が続々と届き、現場は明朝の配達に向けた作業で、がぜん、慌ただしくなる。業界新聞の配達事業を核に各種媒体の配送を手がける東伸社。情報発信におけるデジタル化の加速を受け、リアルとデジタルをミックスしたコンサルティングや新サービス創出に取り組み、事業フィールドの拡大を進めている。(取材・文/大沢玲子)

印刷から配送までトータルでサポート デジタル化を見据えた新サービスも創出代表取締役社長・井辺司氏

 同社は1951年、日本初の業界新聞の配達会社としてスタート。2022年より代表取締役社長を務める井辺司氏は、「現在、当社で配送を手がける業界紙は約100紙で、取扱数は業界でトップクラスと自負しています」と胸を張る。

 その後、発送・印刷と業容を広げ、今や雑誌・DMなどの企画から発送、Web制作まで、企業の情報発信に関するコンサルティングをトータルで手がける。同社のビジネスの強み、特徴はどこにあるのか。

「ゆうメール」配送では
安価な郵送料金を実現

印刷から配送までトータルでサポート デジタル化を見据えた新サービスも創出冊子のフィルムラッピング機、全自動新聞帯巻機など各種機械をそろえ、高速処理を実現

 最大のポイントは宛名管理から封入・梱包、配達までワンストップで請け負い、顧客にとって納期・品質の管理から、コスト削減まで実現することだ。

 物流業界などで人手不足や残業規制が課題となる中、「当社は印刷部門から発送部門まで同じ建物内で運用し、日刊・週刊・月刊など、時間にシビアな発送物も印刷・製本からスピーディーな対応が可能です」と井辺氏は言う。

 発送の種類も自社配達の他、ゆうメール、第3種郵便、宅配便など幅広く取り扱う。特に「ゆうメール」については大口契約により、「通常のゆうメール料金の半額以下の安価な郵送が可能です」という。「クロネコDM便」サービスの終了により、DM発送などの対応に困っていた企業の相談も増加している。

 封入は、透明フィルムで開封率アップが望めるフィルムラッピングから、機械封入・手封入などさまざまな印刷物に対応可能な設備がそろうのも強みだ。

「当社ではフィルムラッピング機を4台所有し、内容物をフィルムで包みながら、宛名ラベルの貼り付け(宛名台紙の封入)までを同時に高速で行うことが可能です」(井辺氏)。カメラ検査とログ管理の導入により、宛名や封入の正確性も担保している。フィルムを使ったオリジナルのデザインなどにも対応している。