
祖業「イトーヨーカドー」の売却を完了したセブン&アイ。これで、同社事業は国内コンビニ事業、海外コンビニ事業、金融関連事業の3つに絞り込まれることとなった。この中で一つ、利益率が低く、しかも大きなリスクになりかねない事業がある。それは何か?同社のデイカス社長の発言から探っていこう。(中小企業診断士 関谷信之)
セブン&アイ、祖業「イトーヨーカドー」関連事業を売却
9月1日、セブン&アイは、祖業「イトーヨーカドー」関連事業(中間持ち株会社ヨークHD)の売却を完了した。
今後、同社事業は、国内コンビニ事業、海外コンビニ事業、金融関連事業の3つに絞り込まれる。最も改善を要するのは海外コンビニ事業だ。利益率が3つの中で最も低いからである。
25年2月期の3事業の利益率は以下の通り
・国内コンビニ事業:25.9%
・海外コンビニ事業:2.4%
・金融関連事:17.2%
・国内コンビニ事業:25.9%
・海外コンビニ事業:2.4%
・金融関連事:17.2%
セブン&アイは、8月に開催した戦略説明会で国際会計基準(IFRS基準)を一部織り交ぜている。通常、IFRS基準は、日本基準と比べ利益が大きく見える特徴がある。なぜなら、
「のれん償却費を計上しなくていい」
ためだ(のれんについては後述する)。
セブン&アイの「のれん償却費(1382億円)」の大半(97%)を占めるのは、海外コンビニ事業である。これがなくなれば、海外コンビニ事業の利益はかさ上げされ、利益率も向上する。投資家等に対して絶好のアピール材料となるだろう。だが、実態が改善されるわけではないし、多額の「のれん」はリスクもはらむ。以下、セブン&アイの「のれん」について考察する。