なぜ「大型株」で「バランス」が重要なのか?
「大型株」を推奨するのには、理由があります。大型株は一般的に業績が比較的安定しており、情報開示も積極的なため、個人投資家でも情報を得やすいというメリットがあります。
また、日々の売買が活発(=流動性が高い)であるため、「買いたい時に買え、売りたい時に売れる」という安心感も、特に初心者にとっては大きな強みとなります。
そして「総合バランス」が重要なのは、企業の「健康状態」を多角的に見るためです。例えば、配当利回りだけが異常に高くても、それが無理な「タコ足配当」(利益ではなく資産を取り崩して配当)であったり、財務がボロボロだったりすれば、将来的に減配や株価自体が大きく下落するリスクをはらんでいます。
特定の指標に偏らず、総合力で判断することが失敗を避けるコツです。
スクリーニングは「宝探しの地図」に過ぎない
ネット証券のスクリーニング機能でリストアップされた銘柄は、あくまで「優良株の候補」です。これを例えるなら、宝のありかを示した「地図」を手に入れた段階にすぎません。その地図を見て、すぐに「買い」に飛びつくのは早計です。
重要なのは、その地図を元に「本当にそこにお宝があるのか?」を自分の目で確かめる作業です。スクリーニングは、膨大な数の銘柄から有望な候補を効率よく絞り込むための「時短ツール」と捉え、次の分析ステップへの入り口として活用しましょう。
「候補リスト」からどう絞り込むか?
リストアップされた銘柄を見つけたら、次のステップとして「企業の定性分析」に移ることが不可欠です。
業績の推移:過去数年間の売上高や営業利益が、きちんと成長しているか、あるいは安定しているかを(最低でも)確認します。
競合優位性:同業他社と比べて、その会社独自の「強み」は何か(技術力、ブランド力、高いシェアなど)を探ります。
これらの分析を経て、初めて「この会社を応援したい」「長期的に持ち続けたい」と思える銘柄への投資判断を下すのです。
高配当と「税金」の賢い付き合い方
配当金には約20%の税金がかかります(NISA<少額投資非課税制度>口座を除く)。特に若い方や資産形成期にある方は、税金を引かれた配当金を受け取って再投資するよりも、配当を出さずに企業内で利益を再投資して事業を成長させてくれる(=株価上昇を狙う)企業のほうが、複利効果が働きやすく、税効率が良いケースも多いです。
もちろん、NISAを活用すれば配当金を非課税で受け取れます。ご自身の投資目的や年齢、資産状況に合わせて、配当(インカムゲイン)と株価上昇(キャピタルゲイン)のどちらを重視するか、税制も考慮しながら考える視点を持つことが、賢い投資家への第一歩となります。
スクリーニング機能を使いこなし、そこからさらに一歩踏み込んだ分析を加えて、ご自身にとっての「優良株」を見つけていきましょう。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











