「FIREしたいですか?」専門家も驚いたイマドキ高校生の“意外すぎる回答”
ベストセラーとなっている『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』の著者・kenmoさんと、新刊『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略」』の著者・宇根尚秀さんによる特別対談をお送りする。新NISA(少額投資非課税制度)で、大人気の「オルカン(eMAXIS Slim全世界株式<オール・カントリー>)」「S&P500(米国株式)」に連動する投資信託を始めた多くの個人投資家に、次の一手となる個別株投資を指南。個人投資家とファンドマネージャーによる「ここでしか語れない話」を繰り広げる。

ゴールドマン・サックス出身のプロが激白!“女子高生に論破されかけた”深すぎる「お金の質問」Photo: Adobe Stock

教えることは最大の学び
高校生からの深遠な問い

kenmo 宇根さんは現在、学校で金融教育をされていますが、私はそういった社会貢献活動ができていません。若い世代に教えるという経験を通じて、ご自身の考え方が変わったり、「やって良かった」と感じたりしたこと、あるいは学生から驚かされたエピソードなどはありますか。

宇根尚秀(以下、宇根) ボランティアとしてやっていますが、逆にお金を払ってでもやらせていただきたいと思うほど、学びの多い経験です。授業後に受ける質問が、いつも非常に深いのです。先日、ある国立の高校で授業をした後、「最後に質問はありますか?」と尋ねたところ、一人の女子高生が手を挙げてこう尋ねました。

「先生、お金と愛は、どちらが大事ですか?」

非常に鋭い質問ですよね。私自身の目線からすれば、何よりも家族が一番大事です。家族が健やかに暮らし、子どもたちが真っ当に育っていくことが最大の目的なので、「家族の健全な生活が維持され、子どもたちが幸せであること、その根底にある『愛』が最も大事だと思います」と答えました。

しかしその後、気になってGoogleで「お金 愛 どっちが大事」と検索してみたら、「お金だ」という意見が数多く出てくるんです。そこで気づかされました。私は、回答する上で重要な「状況」と「前提」を十分に踏まえるべきだった、と。

必要な回答をすることの大切さ

宇根 質問してくれた17歳、18歳の彼女の目線からすれば、それは「交際相手を考えるとき、愛情と経済力のどちらを優先すべきか」という問いだったのかもしれません。そう考えると、Webサイトで語られる「本当に好きな人よりも、経済力のある人が良い」という論理も、一つの視点として存在します。

私は自分の家族という状況を前提に話してしまいましたが、彼女の立場や目線に立って質問の意図を汲み取ることができていなかった。相手の状況を踏まえた上で、必要な回答をすることの大切さを、彼女から学ばされたのです。

「FIREをしたいですか?」
この問いに高校生はどう答えたか

宇根 また、これまで延べ1000人ほどの学生に「FIRE(経済的自立と早期退職)をしたいですか?」という質問もしてきました。

1割ほどの学生は「そんな選択肢があるなんて素晴らしい、FIREしたい」と答えますが、多くの学生は「そうした生き方があることは理解するけれど、自分は職業を通じて人間的に成長し、夢を実現していきたい」と答えます。この結果は、私にとってはある種の安心材料であり、そうあるべきではないか、という学びにもなりました。

普段使わない脳の部分を使う

今後は、ピアニストを輩出するような芸術系の高校で教える予定もあります。彼ら・彼女らは、私とは全く異なるキャリアを歩む人たちです。これまでは金融業界を目指すような学生が多く、キャリアパスに関する質問が中心でした。しかし、次はより抽象度の高いレベルで、お金やキャリアについて語る必要があります。

このように、多様なバックグラウンドを持つ学生たちと向き合うことは、普段使わない脳の部分を使う、新しい挑戦です。授業での反応は非常に正直で、うまくいったこと、いかなかったことが如実に返ってきます。だからこそ、これは私が彼らを教育しているのではなく、むしろ「私が彼らに鍛えていただいている」のだと強く感じています。非常に楽しく、勉強になる新しい感覚の体験です。