シスコのフレッチャー・プレビンCIOは、AIエージェントと人間の従業員が連携する働き方を模索しているというPhoto: Nikki Ritcher for the Wall Street Journal
人工知能(AI)が労働力に与える影響が徐々に明確になる中、企業の技術部門は人事の専門知識を求めており、人事部門も技術部門の協力を必要としている。
AIはすでにホワイトカラー職に甚大な影響を与えており、企業の最高経営責任者(CEO)らはAIによって雇用が消滅していることを認めざるを得ない状況だ。
残った従業員は、新たなプロセスや新たな「デジタル」労働者、そしてAIの可能性をより効果的に活用するために設計された新しい組織構造によって変革された職場に身を置くこととなる。
これは技術的な変化のみならず、文化的な変革を意味する。AI導入を担う最高情報責任者(CIO)らは、こうした技術を恐れず活用することを従業員に推進するため、人事部門と連携している。また、人間の代わりに業務を遂行するいわゆる「デジタル同僚」のAIエージェントがもたらす影響を管理する上でも、人事部門の支援は欠かせない。
米ネットワーク機器大手シスコシステムズのフレッチャー・プレビンCIOによると、同社は8万6200人の従業員と「自立したAIによる仮想スタッフ」が協働した場合について、ITと人事部門が協力して評価している。同氏は「人事部門と緊密に連携して『AIエージェントの世界において(従来の)指揮系統が依然として意味を持つのか』を明らかにすることは、興味深い領域になるだろう」と述べた。
求人情報サイトのインディードには、AI担当バイスプレジデントのハンナ・カルフーン氏が率いる「変革推進室」が存在しており、技術チームの傘下に位置付けられているものの、人事部門と連携している。同氏は変革推進室について、AIを活用して1万人超の従業員を支援する具体的な方法を特定し、学習や開発などに関するソリューションの専門知識をもつ人事部門の担当者につなぐことが責務だと述べた。
労働者が使用する多くのAIツールを手掛ける米マイクロソフトでさえ、社内でAIの進化が進んでいる。同社の労働力変革担当バイスプレジデント、ケイティ・ジョージ氏は今年に入り、AIが約22万8000人の従業員に与える影響を明確にするため、それまで担ってきた人事戦略から現在の役職に異動した。







