「お願い上手な人」に、うまく利用されたことはないだろうか。頼んでもいないのに“助けてあげた気分”を演出し、こちらの善意を巧みに引き出す――。そんな人はどの職場にもいる。日韓累計40万部を突破したベストセラー『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)の続編『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した本記事では、ライターの有山千春氏に、「平等な関係のつくり方」についてご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)
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あなたの「善意」を利用している
「お願い上手」な同僚がいた。
同僚のお願いは「これ、もしよかったお願いできる?」なとどいったストレートなお願いではない。
「うーん、この仕事どうしよう。いま時間ないし。急いでるんでしょ? 私ができるかなあ。どうしよう」
こんな具合に、匂わせる。こちらが「じゃあ私がやるね」と言い出すのを待っている。
素知らぬふりをして「そうだねえ、どうしようか」などと煙に巻いたり、「あなたならできるよ! 大丈夫!」と任せればいいのかもしれない。
しかし、結局いつも「じゃあ私がやるね」と仕事を引き受けてしまう。こちらの悪いクセだ。同僚はこちらの悪いクセを見抜いているからこそ、こうして匂わせてくるのかもしれない。
こうやって、さんざん同僚のお願いを聞いてきた。ならば、と、こちらもお願いをしてみる。そうすると十中八九、
「無理」
無慈悲な返事が返ってくる。
「私、いままであなたのお願いを聞いてきたのに」という言葉をぐっとこらえる。だが、言ったところで「いやいや、こっちはお願いしてないし。あなたが勝手にやったんでしょう」と言われるのをわかっている。
そうしていつも小さなストレスを蓄積して、「仕事を引き受けてしまう自分が悪いのだ」というところに落ち着いてしまう。
同僚は“テイク”した覚えもないから、“ギブ”に及ばなくて当然。巧妙な手口だ。
「テイカー気質」とは距離を置く
「最高の1日が一生続く106の習慣」が綴られたベストセラー『人生は「気分」が10割』には、「『ギブアンドテイク』をモットーにする」というトピックがある。
ここには、「底の浅さを瞬時に察する」人物像について、こんな例をあげている。
(中略)
そういう人間に限って、自分の要求を満たすために相手の貴重な時間を奪っているという感覚がまるでゼロ。自分のことしか考えていないから相手への感謝の言葉もなければ、逆の立場となって恩返しすることも当然ない。
――『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』より
おのずと同僚と重なる。そんな人物を、「底が浅い」と断じてくれることに、爽快感を覚える。そして、「一方通行なだけの関係なら、さっさと縁を切るのが正しい」と、厳しく続く。
ギブアンドテイクが成り立たない関係性は、縁を切るべきなのかもしれない。
ほかに、ギブアンドテイクで気持ちのよい関係性を築けている仲間がたくさんいるのだから、それが通用しない相手は後回しにしてみよう。――そんな勇気がもらえたのだった。
(本稿は、『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』の発売を記念したオリジナル記事です)
メーカー広報、出版社編集者を経て2012年よりフリーライターに。主に週刊誌やWEBメディアで取材記事やインタビュー記事を執筆。昨年より高田馬場の老舗バーにてお手伝い中。



