ギニアビサウ、ビサウ Photo:Anadolu/gettyimages

 欧州に記録的な量のコカインが流入している。コカインは主要拠点のベネズエラから西アフリカに輸送され、そこからはイスラム過激派の手助けを得て南欧に運ばれている。

 各国の法執行当局は、腐敗した軍幹部らと麻薬組織が、軽飛行機、漁船、半潜水艇、東向きの貨物船で密輸品を運んでいると公言している。コカインは西アフリカに流れ、そこから国際テロ組織アルカイダ系の密輸業者とその仲間の非公式ネットワークによって北へ運ばれ、欧州で増大する需要を満たしている。

「1980年代のコカインは、今日われわれが目にするものとは異なる」。退役米軍情報将校のジーザス・ロメロ氏はそう指摘する。「テロ組織と直接的なつながりがあり、その大義を支えている」

 法執行当局によると、ここ数年、コロンビアでのコカイン生産量が前例のない規模に膨れ上がり、従来の密輸ルートでさばききれなくなったため、密輸業者がベネズエラの戦略的位置、治安機関の無力さ、長い海岸線を悪用するようになった。

 これにより、オーストラリアから東欧まで、従来は主要消費地でなかった地域で世界的にコカイン消費が増加していると、国連の薬物研究者らは述べている。

 麻薬密輸業者とイスラム過激派、腐敗した当局者の協力は、犯罪組織・武装グループ・無法政府間で拡大する世界的連携の一部であり、民主的な規範と社会の安定を脅かし、深刻な潜在的影響をもたらしている。

 現在、トランプ米政権がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対する圧力を強めているため、同国の麻薬取引における役割に世界的な注目が集まっている。トランプ政権はマドゥロ氏が麻薬密輸に深く関与していると主張するが、同氏はこの疑惑を否定している。