トランプ氏、中南米諸国に圧力強化Photo:Jesus Vargas/gettyimages

 ドナルド・トランプ米大統領がコロンビアの薬物密輸業者の掃討を宣言したことを受け、中南米における米政府の違法薬物対策が強化される可能性がある。米政府は海上船舶への軍事攻撃をすでに開始しているが、ここにきて同地域の政府に脅しをかける方針により重点を置いている。

 トランプ氏は19日午前、ソーシャルメディアへの投稿で、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領を「違法薬物のリーダー」と呼び、同国政府を激しく批判。コロンビアへの政府支援を打ち切ると述べ、ペトロ氏が「こうした殺りくの場を直ちに閉鎖」しない限り、一方的な行動を取ると誓った。

 トランプ政権はカリブ海で違法薬物を密輸しているとされる船舶への攻撃や、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領への圧力を強めてきた。そして、米国の最も重要な安全保障パートナーの一つであるコロンビアにも攻撃の矛先が向いている。薬物専門家や元政府関係者は米政府の取り組みについて、薬物対策と体制転換の境界線を曖昧にするものだとしている。

 トランプ政権はマドゥロ政権への圧力が功を奏しているとみている。また地域での米軍からの圧力が高まることによって、権力にとどまれないとマドゥロ氏が確信すると考えている。米政府高官は「マドゥロ氏に十分に惨めな思いをさせ、退任に追い込む考えだ」としたが、これには時間がかかる可能性があるとも述べた。

 マドゥロ氏は、ベネズエラ沖に米軍が展開していることは挑発的であり、同氏を権力から追い出すより大きな取り組みの一部だと非難。だが先月にトランプ氏に宛てた書簡では、ベネズエラが違法薬物密売に関与していないことを示すデータを提供すると約束した。トランプ氏は17日、マドゥロ氏が緊張緩和のためなら「全て」を投げ出す考えだとし、「同氏は米国と争いたくない考えだ」と付け加えた。

 トランプ氏は先週、中央情報局(CIA)によるベネズエラでの秘密作戦の実施を承認したと明らかにしている。