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米国の商業用不動産市場が低迷している。近年の不動産価格下落で痛手を被ったことで、手を出したがらない投資家が多い。そもそも投資家にはより有利な選択肢がある。半導体大手エヌビディアの株式が年70%のリターンをもたらす中、不動産投資のリターン7%に甘んじる必要はない。
それでも不動産は米国で適正価格にあると見える数少ない資産の一つであり、株式市場で人工知能(AI)バブルが起きているとすれば、資金の避難先となる可能性がある。
年金基金や保険会社のような機関投資家は、伝統的に商業用不動産市場で中心的な役割を果たしてきた。ポートフォリオの1割以上を不動産に配分し、インフレヘッジや安定収入の確保、株式市場と相関しない資産の保有を目的にビルを購入してきた。
しかし米連邦準備制度理事会(FRB)が2024年9月以降、5回の利下げを実施し、今月にも追加利下げが見込まれているにもかかわらず、機関投資家が再び不動産を大量に購入する動きは見られない。
MSCIのデータによると、2025年年初来の大口投資家による米不動産購入額は売却額を46億ドル(約7200億円)上回っており、3年ぶりに買い越しとなっている。ただし、取引活動は過去の水準と比べると低調だ。








