「65歳のおばあちゃんが宅建に合格」最後まで続けた“たった1つの習慣”とは?
働きながら独学で3年、9つの資格に合格! 大量に覚えて絶対忘れないコツとは?
著者は棚田健大郎さん。1年間必死に勉強したのに宅建に落ちた経験をきっかけに、「勉強が苦手な人でも続けられる方法を作ろう」と決意。棚田さんの勉強法をまとめた『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の刊行を記念して、本記事をお届けします。
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65歳でも宅建合格! その秘訣は?
65歳でも宅建は合格できます。実際に「5回目で合格した65歳のおばあちゃん」がいます。しかも最初から順風満帆だったわけではなく、前回落ちたショックから勉強を始めて、途中で体調を崩して「もうやめようかな」と思いながらも踏みとどまり、最後は合格を勝ち取っています。
何が特別だったのかというと、天才的な記憶力でも、丸一日机にかじりつける時間でもなく、「諦めない気持ち」と「やり方の工夫」が、積み重なって結果になったことです。年齢を理由にためらっている人ほど、ここにヒントがあります。
この方は落ちた瞬間から次を見据えて、ほぼ1年スパンで準備を続けました。けれども1年間ずっと完璧に走り切れたわけではありません。
9月末から大きく体調を崩し、勉強を止めたくなる時期がありました。それでも完全に手放さなかった理由が印象的です。周りには「解けなくても頑張っている人」がたくさんいる。自分がここでやめたら情けない。そうやって気持ちを立て直し、「解ける問題がある」ことを支えにして、もう一度前に進んだ。
ここで大事なのは、根性論というより、心が折れかけた時に戻ってこられる“拠点”を作っていたことです。不動産大学オンラインサロンの音声や問題、印刷して繰り返したPDF。自分の努力が空中分解しないように、手元に「やること」と「戻る場所」を残していたから、崩れても復帰できたんです。
超合理的な勉強法を紹介!
勉強法として一番のポイントは、弱点を自覚してそこに狙いを定めたことでした。この方は「何回も落ちているから実力はついている」と自分で言っています。つまり基礎は積み上がっている。そこで今年は、権利関係の後半の4論点に照準を合わせ、「どうしても満点を取りたい」と決めて執着した。宅建は全体をまんべんなくやるのが理想に見えて、実際は「どこで取り、どこで落とさないか」の設計が合否を分けます。特にリベンジ組は、全部を同じ熱量でやり直すより、前回の敗因を数字で特定し、そこに時間と回数を集中的に投下したほうが得点が跳ねます。この方はまさにそのやり方で、弱点の穴を塞いで合格まで持っていきました。
もうひとつ、継続の仕組みもはっきりしています。「新しい教材を探す」ではなく、「同じものを反復して精度を上げる」姿勢です。年齢を重ねると、新しい情報を次々入れるより、既に入れたものを“本番で落とさない得点”に仕上げるほうが強い。しかも反復は、体調や気分の波がある人ほど有効です。調子のいい日に難しい論点を攻め、調子が悪い日は参考書や過去問を眺める。それでも前に進んだ感覚が残る。継続が切れない。受験勉強を「毎日100点でやる」ではなく、「落ちても戻れる形にする」ことで、1年という長距離を走り切ったんです。
この話が胸を打つのは、勉強法が“生活”と結びついているところです。そもそも宅建を取ろうと思ったきっかけは、不動産業界に転職したいからではなく、義理の息子さんが不動産をやりたいと言っていたから、「お母さんが取ってあげるよ、宅建免許」くらいの軽い引き受けだったと言います。
「諦めない背中を見せる」。最後まで続けた習慣
けれども落ち続けるうちに、周囲からは「また挑戦するの?」という目もあった。そこでこの方は、勉強を“自分だけの戦い”にせず、孫たちに「諦めない姿」を見せることに意味を見出しました。「勉強しなさい」と言うより、諦めない背中を見せたほうが説得力がある。合格を伝えたら、中学1年のお孫さんが「すごいな。僕も挑戦するよ。自慢のおばあちゃんだよ」と返してくれた。ここまで来ると、合格は点数以上の価値になります。勉強は孤独になりやすいけれど、誰かの未来に繋がっていると思えた瞬間に、踏ん張りがきく。これは65歳だからこそ、むしろ強みに変わる部分でもあります。
もしあなたが「年齢的に今さら…」と思っているなら、ここだけ覚えておいてください。65歳で合格した人がやったのは、特別な才能ではなく、前回の敗因を直視して弱点を狙い撃ちしたこと、繰り返せる形にして勉強を生活に埋め込んだこと、そして折れそうな時に戻ってこられる“拠点”を作ったことです。
体調を崩しても、気持ちが沈んでも、それでも「やめない」を続けたから、最後に結果がついてきました。宅建は、若さの試験ではなく、積み重ねの試験です。諦めない気持ちは精神論ではなく、仕組みに落とし込んだ時に、ちゃんと点数になります。そしてその点数は、年齢に関係なく、合格という形で返ってきます。
(本原稿は、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の著者の寄稿記事です)







