資格勉強で「家庭が壊れる」…がんばる人ほど陥る“危ない思考”とは?
働きながら3年で、9つの資格に独学合格! 大量に覚えて、絶対忘れないノウハウとは?
「忘れる前に思い出す」最強のしくみ、「大量記憶表」を公開!
本連載の著者は棚田健大郎氏。1年間必死に勉強したにもかかわらず、宅建試験に落ちたことをきっかけに、「自分のように勉強が苦手な人向けの方法を編み出そう」と一念発起。苦労の末に「勉強することを小分けにし、計画的に復習する」しくみ、大量記憶表を発明します。棚田氏の勉強メソッドをまとめた書籍、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の刊行を記念して、メソッドの一部を公開します。

資格勉強で「家庭が壊れる」…がんばる人ほど陥る“危ない思考”とは?Photo: Adobe Stock

がんばる人ほど陥る“危ない思考”とは?

「仕事や家事が忙しくて、勉強する時間が取れない」「勉強できない日が続くと罪悪感を感じてしまう」――そんな悩みを抱えている方、本当に多いと思います。今この文章を読んでいるあなたも、もしかしたら同じような不安を感じているかもしれません。でも、どうか安心してください。

 最初にお伝えしたいのは、「休んでいい」ということです。勉強ができないほど忙しいのなら、無理をせずにきちんと休んでください。体を壊してしまったら元も子もありません。大事なのは、最初の志を見失わないことです。なぜあなたは資格を取りたいと思ったのか。今よりもステップアップしたい、より良い人生にしたい――そう思ったからこそ、勉強を始めたはずですよね。

 その思いがあるからこそ、今の生活を全部犠牲にしてまで無理する必要はありません。無理して睡眠時間を削って勉強して、翌日仕事がうまくいかなくなったり、家族との時間が壊れてしまったり、それでは本末転倒です。せっかく前向きな気持ちで始めたはずなのに、その過程で逆に生活の質が落ちてしまったら意味がありません。だからこそ、つらいとき、きついときには迷わず休むべきなんです。

「休みながらできる」勉強とは?

 とはいえ、まったく何もしないままだと、勉強から離れすぎてしまったり、せっかく覚えた知識を忘れてしまったりすることもあります。そこでおすすめしたいのが「耳からの学習」、つまり自学のスタイルです。やり方はとても簡単で、まず自分が使っている問題集を読み上げて、それをスマホで録音します。そして、その音声をBluetoothイヤホンで倍速再生して聞く。忙しいときには、ただこれを聞くだけで十分なんです。私も、時間が取れるときに問題集の各チャプターを読み上げて録音しておき、忙しい日にはその音声を聞いて頭の中で答えを考えていました。それだけで「今日は勉強した」ということにしていました。

 どんなに忙しい人でも、耳が空いている時間というのは必ずあります。たとえば通勤の電車の中や車の中、ウォーキング中、料理中、洗濯物を畳んでいる時、お風呂に入っているとき……こうしたスキマ時間を積み重ねれば、1時間くらいは確保できるはずです。ほんの少しの工夫で、学習は続けられるんです。耳というのは、社会人にとって非常に大切な学習ツールなんです。なので、イヤホンをつけて学習するなら片耳だけにしておくのがオススメです。両耳をふさいでしまうと外界との接触が断たれてしまうので危険ですし、片方ばかりだと耳が痛くなるので、たまに左右を入れ替えてくださいね。

自分を責めてはいけない

 もう一つ、すごく大事なことをお伝えしておきます。それは「自分を責めないこと」。これも本当に大切なんです。忙しさの中で勉強を休んでしまうと、「自分は何をやってるんだろう」とか、「こんなんじゃ合格できない」といった自己否定に陥りがちですが、それは絶対にやめてください。というか、罪悪感なんてそもそも感じる必要がないんです。

 だって、社会人として毎日働いて、そのうえで試験勉強もしているわけですよ? それだけでもう、あなたはものすごく頑張っているんです。あなたのまわりを見渡してみてください。仕事が終わってから、テレビも観ずに、お酒も飲まずに、ひとり黙々と参考書を開いている人、どれくらいいますか? たぶん、あまりいないと思います。あなたが今こうして勉強しようとしていること自体が、もう立派なんです。

 だから、たとえ今日は休んだとしても、そんな自分を責めずに「よく頑張ってるな」と素直に褒めてあげてください。そしてまた、心と体が整ったら再スタートすればいいんです。資格試験というのは、基本的に長いマラソンです。たまに立ち止まることは誰だってあるし、むしろそれが自然なんです。まわりのみんなも、きっとどこかで休んでいます。休んだことで「自分だけが遅れてる」とか、そういう心配は必要ありません。

家族に求めすぎない

 そして最後にもうひとつ、お伝えしておきたいことがあります。それは、「家族に求めすぎない」ということ。勉強が忙しくなってくると、「もうちょっと手伝ってほしい」「少しでいいから気を利かせてほしい」と思うこと、あると思います。もちろん、その気持ちは痛いほどわかります。私もかつて同じように思っていました。ただ、その思いが強くなって、家族に対する不満が膨らんでしまうと、どうしても空気が悪くなりがちなんですね。実は、あなたが試験勉強をしているというだけで、家族はすでに気を遣っているんです。そこにさらに「あれもこれも」と頼んでしまうと、相手は「自分なりに気を使ってるのに、まだ足りないって言われるのか」と感じてしまうんですね。

 ですから、まずは「勉強させてもらえていること」に感謝する。その気持ちを持つことがすごく大切です。今、家庭の中であなたが担っている役割を、できる範囲で維持しながら、勉強と両立していく。そのほうが、結果的に全体のバランスが保てて、むしろ効率が良くなるものなんです。

 もしこの文章を読んでいるご家族の方がいたら、どうかこれだけはお伝えさせてください。社会人や主婦が資格に挑戦するというのは、本当に大変なことです。もし少しでも余裕があれば、いつもよりほんの少しでいいので、気にかけてあげてください。それが、受験生にとっては何よりの励みになります。それから、Bluetoothイヤホンをつけていて話しかけても反応がないときは、無視しているわけではありません。集中して勉強しているだけですので、そっと見守ってあげてください。

 私たちが目指すのは、資格に合格することだけではありません。家族とも円満でいられること、そのうえで合格を勝ち取ること。それが最も理想的なゴールです。合格のために家族との関係を壊してしまったら、本末転倒です。資格を取ることで幸せになるはずなのに、その過程で大切なものを失ってしまったら意味がありません。不動産大学としては、そういう学び方はおすすめしていません。どうか、あなたらしいペースで、あなたの生活を大切にしながら、最後まで歩んでいってください。

(本原稿は、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』を一部抜粋・加筆したものです)