トランプ米政権が提示したウクライナ和平案は、ロシアの国益にとって非常に有利な内容であるにもかかわらず、同国のウラジーミル・プーチン大統領はそれを受け入れていない。和平案では、制裁解除に加え、世界経済の枠組みにロシアを再統合することや、ロシア外貨準備の凍結解除、ロシアのデータセンターやレアアース(希土類)関連のプロジェクトへの米国の投資を認めることが提示されている。トランプ政権はプーチン氏の関心を読み違えている。ロシア経済は安定している。プーチン氏の戦争目的は領土と帝国主義的支配だ。われわれのカネを欲しがっていない。欲しいのはウクライナであり、これはロシアの大国としての地位の再構築への足掛かりだ。プーチン氏を和平へと向かわせる唯一の方法は、同氏の戦争が失敗に終わると確信させることだ。