個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズです。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学べます。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「この数字」を見ずに株を買ってはいけない
窪田さんは、本書の中で次のように断言しています。
「株式投資で、絶対にやってはいけないことがあります。それは、財務内容の悪い株を買うことです」(『株トレ ファンダメンタルズ編』より)
業績は、会社内部の要因だけでなく、景気や外部環境の影響を受けて変動します。
たとえ今期の業績が悪くても、来期以降に回復する見込みがあれば、投資対象として検討する余地はあります。
業績悪化が一時的なものであれば、株価が下がった局面は、割安に仕込めるチャンスになることもあるのです。
一方で、財務体質は短期間では簡単に変わりません。
最悪の場合、資金繰りに行き詰まり、倒産して株の価値がゼロになってしまうリスクすらあります。
つまり業績が悪い会社を買うのは検討の余地があっても、財務が危険な会社には絶対に手を出してはいけない。これが、窪田さんが本書で強調していることです。
では、「財務が悪い会社」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。
最初に見るべきは「流動比率」
財務の状態を客観的に把握するための書類が、バランスシートです。
『株トレ ファンダメンタルズ編』では、いくつかのチェックポイントが紹介されていますが、まず最初に確認すべき指標として挙げられているのが、流動比率です。
流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
流動資産とは、原則として1年以内に現金化できる資産のこと。一方、流動負債とは、1年以内に支払期限が来る債務を指します。
ここで難しく考える必要はありません。バランスシートを家計に置き換えて考えてみると、直感的に理解できます。
左が家計の資産(現金、マンション)、右が家計の負債(返済期限の短い借金、住宅ローン)
たとえば、半年後に返済期限が来る借金が500万円あるのに、手元の現金が200万円しかない家計があったらどうでしょうか。
近い将来、資金繰りに苦しむことは容易に想像できます。
会社も同じです。支払期限が短い負債が、すぐに現金化できる資産を上回っている状態は、極めて危険なのです。
企業のバランスシートで考えてみましょう。

業績回復を見込んで、割安なタイミングで買いたいと考えたA社とB社が候補に挙がりました。一見すると、どちらも魅力的に見えるかもしれません。
しかし、流動比率を見ると、A社は400%。一方、B社は40%しかありません。
この時点で、B社には手を出してはいけません。短期的な支払い能力に深刻な不安があるからです。いくら業績回復が期待できても、財務に不安を抱える会社に投資するのは、リスクが高すぎます。


