米国の20~24歳の失業率
(2025年9月)

米国経済は全体としては底堅い成長を続けるが、その裏では勝ち組と負け組の二極化と格差拡大が進んでいる。高所得層と低所得層、株高の恩恵を受ける者と受けない者、大企業と中小企業の間で景気の実感は大きく異なる。
米国では成長率の割に雇用が伸びない「雇用なき成長」が続く。労働供給も解雇も増えないため失業率はさほど上昇していないが、ここでも勝ち組と負け組はいる。
新たに労働市場に参入して職を得ようとするZ世代(15~30歳程度の年齢層)は負け組だ。政府閉鎖で雇用統計が混乱する前(2025年9月)の失業率は25歳以上では3.5%と23年初から0.6%ポイントの上昇にとどまっていた。
一方、同期間に20~24歳では失業率は2%ポイントも上昇して9.2%に達していた。16~19歳に至っては3.5%ポイント上昇して13.3%を記録した。
名目賃金を見ても、Z世代の伸び率の鈍化が目立つ。16~24歳は就職後のスキル上昇が著しく、昇格・転職を通じて賃金の伸び率が過去の平均で7%と高い傾向がある。コロナ禍後の人手不足時には13%近い伸びを記録していたが、その後伸び率が急減速して最近は6%を切っている。
雇用の悪化局面で若い世代が割を食うのは、今に始まったことではない。世界金融危機後のミレニアル世代の雇用環境の悪化は今のZ世代より深刻で、失業率が危機前に戻るのに7年を要した。
キャリア形成の初期に雇用環境が長期にわたって低迷すると、“後遺症”も大きい。22~28歳の親との同居率は金融危機後に27%から32%へ上昇して高止まりを続けていたが、足元で再び上昇に転じ、35%を超えている。Z世代の雇用環境悪化に加え、金利や家賃の高止まりも影響している。
若い世代の雇用・環境の悪化は経済的なダメージも大きいが、政治的な影響も懸念される。本来楽観的な18~34歳の消費者センチメントは、歴史的な低水準で低迷が続く。新自由主義的な経済政策がもたらす若い世代の経済的苦境や不安が政治的不満を高め、ポピュリズムの台頭と民主主義の揺らぎに拍車を掛けかねない。
(オックスフォード・エコノミクス 在日代表 長井滋人)







