いい働き口がなく、就職しても低賃金労働が待ち構える韓国人女性の現実がツラすぎる写真はイメージです Photo:PIXTA

韓国では、女性の正規雇用枠は極めて少ない。一度でも非正規で働くと、正規には戻れない底なし沼だ。しかも、パートで働こうものなら、非正規雇用の賃金格差と男女の賃金格差のダブルパンチが待っているという。働き盛りの韓国人女性を襲う、ツラすぎる現実とは?※本稿は、行政学博士のチェ・ソンウン著、小山内園子訳『働きたいのに働けない私たち』(世界思想社)の一部を抜粋・編集したものです。

北欧諸国の女性たちは
男性と違う職業に就いている

 男女の性別で職種が分離する現象は、ほとんどの国で見られる。意外なことに、この性別職務分離現象が深刻なのは、北欧の福祉国家スウェーデンである。

 性別職務分離は、社会的、経済的地位の高い職種に女性が少ない現象を指す「垂直的分離」と、女性が公共領域など特定の部門に集中する「水平的分離」に分けられる。

 社会学者のジェニファー・ジャーマンらが、2002年から2006年を基準に性別職務分離のレベルを比較した研究結果によれば、調査対象22か国のうち、職務分離の現象が最も顕著なのは、フィンランド、デンマーク、スウェーデンなど、北欧の社会民主主義国家だった(注1)。

 社会民主主義を代表するスウェーデンと自由主義を代表するアメリカ、そして韓国の事例を比較してみよう。ガラスの天井と呼ばれる垂直的分離現象が最もひどかったのは韓国で、女性が公共部門に集中する水平的分離現象は、スウェーデン、アメリカ、韓国の順に深刻だった。

(注1)Jennifer Jarman ,Robert M. Blackburn, Girts Racko,〈The Dimensions of Occupational Gender Segregation in Industrial Countries〉,《Sociology》46, British Sociological Association,2012.5.16.