
家を買わず転職もしない
アメリカ人が増えている?
アメリカ企業につとめていると聞いて、どんなことを思い浮かべるだろうか。その中には「会社の都合ですぐに退職させられる」というイメージを持つ人も少なくないだろう。
会社は余剰人員をすぐに解雇して、必要であればその都度採用する。あるいは働き手は機会があればすぐに転職し、より良い仕事を求めて移動するということが、アメリカ経済のダイナミズムを支えてきた。
だが、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が、そんなアメリカの雇用市場に変化が起こっていることを指摘している。
同紙によれば、住宅購入や都市間移動の割合は史上最低水準に低下し、企業の採用も明らかに減ってきているという。これはアメリカの雇用市場の「日本化」の一部だとみていいのではないだろうか。
コロナ後に大量退職が
起きた3つの要因
筆者は2022年に「『不況になったらクビ』はもう限界? 米国企業で“雇用の日本化”が進む理由」(ダイヤモンド・オンライン)で、アメリカにおける「雇用の日本化」について論じた。
当時のアメリカではコロナ禍による「グレート・レジグネーション(Great Resignation)」が起こっていた。レジグネーションは「辞任」の意味だが、ここでは「退職」を意味している。つまり、グレート・レジグネーションは「大量退職」ということだ。
コロナ後の2021年以降に広がったグレート・レジグネーションは数千万人規模の労働者が自発的に職場を離れた現象を指している。では、なぜグレート・レジグネーションが起こったのか。