手みやげを渡すとき、
「つまらないものですが」と言ってはいけない

 人は、他人の「いいところ」よりも「悪いところ」に反応します。ですから、「気配り」は、好かれるよりも、

●「どうしたら、嫌われないか」
●「どうしたら、相手を不快にさせないか」

 を考えることが先決です。
 以前、こんなことがありました。
 ある取引先に「手みやげ」を持っていったときのことです。

「つまらないものですが……」

 と言って手みやげを渡した瞬間に、相手の表情が険しくなったのです。
「つまらないものですが……」は、日本人の持つ「謙虚」の美学を表しているとも言えます。
 けれど、人によっては、「つまらないものは、ほしくない」と思うかもしれません。
 実際に私は、その相手に、

「つまらないものなら、持って帰ってださい」

 とたしなめられました。
 それまでにも、私はたくさんの迷惑をかけていたので、嫌みを言われたのだと思います。
 その方は、「手みやげをもらえたことがうれしかった」のではなく、「つまらないもの」と私に言われたことに腹を立てたのです。
 このケースでは、

●「お気に召しますでしょうか」
●「心ばかりのものですが」
●「ほんの気持ちですが」

 と言っていれば、相手に嫌われることはなかったと思います。