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プルデンシャル生命の社員・元社員107人が総額31億円の金銭詐取をしていたという報道を見て、正直なところ会社の規模にしては「少ない」と感じる。しかし、ここまで「袋叩き」にあっているワケはなんだろうか。数字を冷静に見れば、この事件は単なる「不祥事」として片付けられる話ではない。問われているのは限界を迎えたビジネスモデルそのものだ。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)
「特別なお客様にだけお伝えできる、特別なお話があるんです」
プルデンシャル生命の金銭詐取等をめぐる報道が加熱している。これを見て、ある友人が「ぞっとした」と語った。ネタと思われるかもしれないが実際の話である。
少し前のことになるが、友人は知人の紹介でプルデンシャル生命の営業担当者と面談することになったという。その友人の大学の後輩だという営業担当者は、軽い雑談ののち、前触れもなくこう切り出した。
「特別なお客様にだけお伝えできる、特別なお話があるんです」
営業に慣れている人なら、この種の言葉に既視感を覚えるだろう。友人も同様だった。「はいはい、またそれですか」と直感的にうさんくささを感じつつも、知人の顔を立てるため、しばらく話に付き合い、適当なところで話を打ち切った。
その時点では「詐欺」とまでは思わなかった。「たちの悪い営業だな」という程度の印象だったという。ところが今回の記者会見と報道を目にし、友人は愕然とした。 「あのときの話は、やはり“偽物”だったのか」と。
数字が語る意外な事実――「30年で107人、31億円」の意味
プルデンシャル生命では、1991年から2025年までの約30年間に、社員・元社員107人が、500人を超える顧客から総額約31億円を不適切に受領していた。架空の投資話、私的な金銭借り入れ、キックバックの受領など、態様はさまざまであるが、いずれも看過できないものだ。
生命保険会社は「信頼」そのものを商品とする業態である。げんに被害者が存在し、返金も一部にとどまっている以上、社会的な非難を免れないのは当然だ。この点について異論の余地はない。
だが一方で、ここで一度、感情を脇に置き、数字を冷静に眺めてみる必要がある。
率直に言えば、初報に接したときの私の第一印象は、「意外に件数が少ない」「金額も大きいとは言えない」というものだった。おそらく企業のコンプライアンスに長く関わってきた私自身の職業病なのだが、世間の反応とはやや異なっていたといってよい。
なぜそう感じたのか。前提条件を整理してみよう。







