
2025年も残り100日だ。しかし9月になっても東京で35度を超える日が続出するなど、日本の四季を変えてしまいそうな酷暑が続いた。激しい気候変動は社会のこれまでの仕組みを変えてしまう。下期が見えてきた今こそ、これからの社会変化を予測し、何を今すべきなのか考えたい。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)
酷暑を機に考えるリスクマネジメント
今年の夏も暑かった。日本列島は観測史上最高を更新する猛暑に襲われ、熱中症による救急搬送が相次いだ。農作物への悪影響も避けられない。外国人旅行者は日本の夏に悲鳴をあげ、日傘はもはや誰もが持つ必需品になった。
この「とんでもない夏」は偶発的な異常気象ではなく、気候変動が社会の基盤を揺るがすことを示す前触れの可能性が高い。そして同時に、このようなリスク事象は、政治・経済・社会・技術などのあらゆる領域に存在し複雑に絡み合いながら、日々それらに関するニュースが飛び交っている。
現在、企業も個人も大きなリスクに取り囲まれている。
リスクマネジメントの世界においては、こうした外部環境の変化を体系的に整理するために「PESTEL分析」というものを用いる。この記事では今後5年間に予測される変化をPESTELで整理し、その中でも最大の変化であるAI+ロボティクスの衝撃に焦点を当て、さらには個人のリスクマネジメントを論じてみたい。
PESTEL分析とは、外部環境を6つの視点から分析する方法である。
Political(政治)、Economic(経済)、Social(社会)、Technological(技術)、Environmental(環境)、Legal(法制度)の領域から、企業や組織の力では変えられない要因を網羅的に捉え、将来のリスクや機会を見極めるのに使われる。
通常、特定の企業や団体の視点で分析するが、ここでは日本のビジネス界という視点で簡単に整理したい。