プレゼンが全く盛り上がらなくてヘコむ…孫正義のスピーチに学ぶ「巻き込み力」の秘密とはTomohiro Ohsumi/gettyimages

同じスピーチでも場によって受け入れられ方が違う

「せっかく良い内容を準備したのに、部下の心に響いていないようだった」「一部の人にだけ届いて、他は置き去りにしてしまった」

 人前でプレゼンテーションや発表、研修の講師などをしたことがある人は、必ず、こんな経験をしたことがあるだろう。

 会議や研修、講演、さらにはパネルディスカッションや対話イベントにおいて、「参加者」は決して一枚岩ではない。ひとつのテーマのもとに集ったように見えても、そこにいる人々の関心、目的、態度、心の準備状態は大きく異なる。

 では、いったいどうすれば「多様な聴衆」を巻き込み、納得と共感の場を作ることができるのか。

 たとえば、ソフトバンクの孫正義会長のスピーチは、多様な聴衆を巻き込み、話の虜にしてしまうという意味で、他の追随を許さない天才的なものがある。そのレベルに至るのは常人には無理だとしても、少しの工夫で聴衆を味方につけやすくすることは可能だ。

 ここでは、聴衆の参加モードを3×3のマトリクスで分類し、それぞれの特徴とアプローチ方法を検討する。その上で、実際の「巻き込み」戦略と、真に求められるリーダーシップのあり方について論じたい。