米国牛肉業界からのメッセージ、「高価格に慣れよ」牛肉価格は高止まりしているが、消費者の需要は依然として旺盛だ Photo:Kyle Green for WSJ

 米国の牛肉市場で、高価格がニューノーマル(新たな常態)となっている。牛の供給が逼迫(ひっぱく)する一方、旺盛な需要は続いていることから、消費者向けだけでなくサプライチェーン(供給網)全体で今後数年間にわたりコストが高止まりするとみられる。

 供給改善に向けた取り組みは遅々として進んでいない。牧場主は規模を拡大することで、数十年ぶりとなる高収益を損なうことに消極的となっている。農務省によれば、米国の牛の飼育頭数は75年ぶりの低水準にとどまり、トランプ政権による価格抑制策もほとんど効果を発揮していない。

 労働省は先週、1月の牛ひき肉価格が前年同月比17%上昇したと発表。これに対し、その他の食料品全体の上昇率は同2.1%だった。

 モンタナ州マイルズシティで650頭の牛を飼育する牧場主のモンティ・レッシュさん(64)は、「牛肉は高品質なタンパク質であり、消費者の需要がそれを反映している」と述べた。

 一方で高止まりする牛肉の価格は、ケンタッキー州北部に住むトニー・ベアさんのような消費者が離れる要因にはなっていない。53歳のベアさんは店頭での価格上昇に気付いているものの、味が好きなため購入量は減っていないと説明。行きつけは地元にあるスーパーのパブリックスだが、大人数でステーキを焼く予定があるときは会員制量販店大手コストコ・ホールセールでも購入するという。

 ベアさんは「質の高いステーキやハンバーガーには、多く払うことをいとわない」とした。

 米国の牧場主たちは数年前から、飼育する群れの規模を縮小し始めた。これには新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に起因する厳しい財務状況が背景にある。また深刻な干ばつも放牧地を焼き尽くし、家畜の飼育コストを押し上げた。

 トランプ政権は牛肉価格の上昇を抑えることが最優先課題だとし、解決策を見つけるため政策会議には主要顧問を動員。ドナルド・トランプ大統領は今月、アルゼンチンからの牛肉輸入を4倍に増やす大統領令に署名した。だがその輸入量の規模は小さい。トランプ氏はブラジル産牛肉の輸入関税の一部も引き下げている。