デフレ時代に立てたライフプランは破壊される可能性が大!
インフレ時代はガンガン働き、資産運用に励むのがベスト

 前ページでも触れたように、インフレになるとモノやサービスの価格が上がって、お金の価値は下がる。つまり、デフレ時代とはお金の常識がガラリと変わってくるため、「デフレ時代の感覚のままでは、家計が赤字に転落するリスクが高まります」(ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん)。

 これまでと同じように暮らしているつもりでも、インフレ時代には生活費や教育費などがかさんでしまう。例えば、以下のシミュレーションを見てほしい。井戸さんの協力のもと、「夫の年収600万円、妻は専業主婦、子ども2人」という標準的な4人家族をモデルに試算した家計の収支表だ。

 現在は年間15万円の黒字だが、年率2%のインフレが続くと状況は一変する。生活費や教育費が毎年じわじわと上昇し、収入が変わらなければ、わずか2年後には家計は赤字に転落してしまう。さらに4年後には、年間20万円近い赤字を抱える結果に。

 デフレ時代は物価が上がらなかったので、例えばスマホの料金プランの見直しなどで、一度支出を削れば、その効果は翌年以降も続いた。しかしインフレ下では、従来の節約術は一時的な時間稼ぎにしかならない。家計を守るには、これまでとは異なる新しい対策が必要になる。

 具体的には、どんなことをすればいいか。まず、現在の家計収支と資産・ローンの状況を正確に把握することはマストだ。あいまいな感覚ではなく、現在の生活費(食費や光熱費・通信費など)と、資産状況をすべて洗い出そう。

 現在地を正確に把握したら、新しいプランを再構築する。デフレ時代の計画の延長ではなく、インフレに合わせアップデートしよう。繰り返しになるが、インフレが進むと、同じ生活を維持するだけでも毎年コストが増えていく。副業などで、収入を増やすことも考えたほうがいいだろう。

 パートをしている配偶者がいる場合、仕事量を増やしてもらうことも検討したい。ただ、パートやアルバイトの場合、「年収の壁」(年収が106万円や130万円といった壁を超えると、配偶者の扶養から外れて社会保険の負担が発生し、手取り額が少なくなってしまう仕組み)を恐れて労働時間をセーブする人も多い。

 しかし、インフレ時代は考えを改めたほうがいいだろう。井戸さんは「目先の手取り額だけでなく、将来、厚生年金を受け取ることを考えるべき」とアドバイス。たとえば、年収150万円になると、社会保険料や税金が引かれ、手取り額は122万円程度に。それでも、10年間にわたって厚生年金に加入すれば、将来の年金額は年間で約8万2000円も増加する。しかも増えた分の年金は一生支給されるのだ。

 インフレ下では賃上げの波にも乗れるし、ガンガン働いて稼ぐほうが有利だ。支払った社会保険料は決して無駄なコストではなく、将来の自分に確実にリターンのある“投資”。物価上昇に負けず、安心した老後を迎えるためには、年金という将来の手取り額を増やすことを考えたほうがいいだろう。

 もちろん、資産運用で収入を増やすことも検討したい。インフレ下では現金の価値が目減りしていくため、「お金はとりあえず銀行に置いておくこと自体がリスクになります」(井戸さん)。インフレに強い資産といえば、株、金、不動産など。資産運用で“インフレ負け”を防ごう!