隣の席の同僚が、最近やけに仕事が速い。
後輩はいつの間にかAIで資料を作っている。

かたや自分は、ChatGPTを開いてはみたものの、どこで使えばいいのかわからず、なんとなく開かなくなってしまった――。同じAIを、同じタイミングで手にしたのに、別人のように加速する「化ける人」と、何も変わらない「終わる人」がはっきり分かれる。その差を生むのは、ITスキルでも知識でもない。たった一つ、「考え方」だ。
書籍『AIで終わる人 AIで化ける人』は、のべ1000社・3000名超のビジネスパーソンの「AIとの出会いの瞬間」を見てきた著者が、AI時代に淘汰される思考と飛躍する思考の違いを20の対比で解説した1冊。本記事では、本書より一部を抜粋・再編集して紹介する。

「AI、乗り遅れたかも」と思ったら手遅れになる前に知るべき一つの事実Photo: Adobe Stock

AIって、いまいち使えなかった印象が

会社からChatGPTのアカウントが配られたのは、いつ頃だっただろうか。

とりあえず開いてみた。何か質問を打ち込んでみた。
それっぽい答えが返ってきた。
「へえ、すごいな」とは思った。

でも、翌日の仕事が劇的に変わったかと言われると、正直よくわからない。
議事録を要約させてみたけど、所々間違えるし、自分で直したら時間がかかった。
企画書のたたき台を作らせてみたけど、なんだか当たり障りのないことしか書いてくれない。

そうこうしているうちに、なんとなく開かなくなってしまった。

別に嫌いになったわけじゃない。
ただ、自分の仕事のどこにどうはめればいいのか、いまいち掴めなかっただけ。
それだけのことだ。

いつのまにか、みんなAI使ってる?

ところが、ふとSNSを覗くと、世の中の人たちはどうやらAIをバリバリ使いこなしているらしい。

「AIで業務時間が半分になりました」
「もうAIなしでは仕事できません」

そんな投稿が次々と流れてくる。
もっと身近なところで言えば、隣の席の同僚の仕事がなんだか最近速い。
後輩が、いつの間にかAIで資料を作れるようになっている。
先輩は先輩で、「これ、AIに聞いたらすぐ出てきたよ」なんて涼しい顔で言ってくる。

みんな、いつの間に使えるようになったんだろう。
自分だけ取り残されているんじゃないか。
そこまでは思わないけど、なんとなく、ほんのちょっとだけ、気になっている。

「なんとなく気になる」だけで大丈夫

もし今、あなたがそんな感じだとしたら、あわてる必要はありません。

AIを企業に導入する事業を通じて、個人の働き方を変えようとしている私自身の肌感覚、現時点での各種調査結果からみても、「AIを毎日バリバリ使いこなしている」という人は、全体の1割にも満たないと思います。

これから、その割合は加速度的に増えていくかもしれませんが、今のところは「なんとなく気になっている」という感覚だけで十分です。

そして、そこから先に進むために必要なことは、あなたが思っているよりもずっとシンプルです。

(本記事は、『AIで終わる人 AIで化ける人』を一部抜粋し、作成したものです。)

中平健太(なかひら・けんた)
株式会社ガラパゴス 代表取締役社長
早稲田大学理工学部卒業後、プロセス改善コンサルティングファームを経て2009年に創業。100を超えるスマホアプリ開発などを行うなかでデザイン産業の課題に直面し、いち早くAI技術の研究開発をスタート。2019年にAIを活用したクリエイティブ制作・改善サービス「AIR Design」をリリース。同サービスはのべ1000社・3000名以上に導入され、企業の業務フローと、個人の思考や働き方に根本的な変革をもたらしている。「ICCサミット KYOTO 2022 カタパルト X」優勝など起業・スタートアップ関連の賞を多数受賞。テレビやウェブメディアでも広く取り上げられ、1万人超への講演実績も持つ。現在は累計約24億円の資金調達を実施し、AI技術の社会実装を牽引している。