◆株の損切りに通じる、妻の衝撃的な決断とワケ
育休中に株式投資を本格開始し、わずか2年で資産1億円を築き上げた現役ママ投資家・ちょる子著『ママ投資家が育休中に1億貯めた株式投資』。子育てや仕事と両立しながら、どうやって株で稼ぐのか? 株式投資を始めたきっかけから、大きな損失を乗り越え、億り人に到達するまでの試行錯誤、資産4億円超を築き上げた考え方や具体的な投資手法までわかりやすく解説!

「もったいない」は絶対NG…夫のローン1000万を整理した妻が教える、投資の落とし穴・ワースト1イラスト 鳩 さんわ

1000万円の負債を清算して得た「自由」
夫婦の決断から学ぶキャッシュの力

投資の世界でも実生活でも、過去の執着や負債が、正しい判断を狂わせることがあります。

適応障害で倒れた夫を救うため、妻が約1000万円の負債を整理したエピソードから、個人投資家が直面する「負債の重圧」「キャッシュ(現金)の重要性」について紐解いていきます。

負債と見栄が
「損切り(撤退)」を遅らせる

夫が心のバランスを崩した際、個人投資家の妻・ちょる子さんは一刻も早い退職を勧めました。しかし、夫自身やその両親には「築いたキャリアを捨てていいのか」という葛藤がありました。

さらに夫を追い詰めていたのは、大学時代の奨学金や、分割払いで買った車・時計のローンです。「退職すれば親に支払いの負担をかけてしまう」という危惧が、彼を身動きの取れない状態にしていました。

投資において、これは「レバレッジ(借金)の罠」や「塩漬け株の心理」に酷似しています。信用取引で負債を抱えていたり、「ここまで時間とお金をかけたのだから」というサンクコスト(埋没費用)への執着があったりすると、致命傷になる前に撤退(損切り)する判断が鈍ります。負債や見栄は、いざという時のフットワークを著しく重くするのです。

キャッシュの力がもたらす
「究極の選択肢」

そこでちょる子さんは、「お金で解決できるなら、それで夫を自由にしよう」と腹を括ります。夫が抱えていた奨学金やローンの残債、合わせて約1000万円を彼女がすべて整理したのです。車を売却し、保険を解約し、それでも残った負債は彼女自身の資金で立て替えました。これにより両親も納得し、夫は無事に会社を辞めることができました。

個人投資家にとって、このエピソードは「キャッシュポジション(現金比率)の偉大さ」を教えてくれます。いざ相場が暴落したときや、人生の危機が訪れたとき、手元に十分なキャッシュがあれば、不利なポジションを即座に清算し、ゼロベースで体制を立て直すことができます。現金は、単なる待機資金ではなく、あなたに「選択の自由」を与えてくれる最強の防御手段なのです。

素早い決断が次の成長(リターン)を生む

負債を清算して退職した夫は、自宅でゆっくりと3ヶ月を過ごしました。重圧から解放されたことで順調に回復し、笑顔を取り戻します。そして早々にスタートアップ企業への再就職が決まり、夫婦の生活は落ち着きを取り戻していきました。

一時的に大きな損失(手元資金の減少やキャリアの中断)を受け入れてでも、素早く損切りをして身軽になったことで、結果的に「早期回復」と「新たなステージでの活躍」という次のリターンを掴むことができたのです。

目先の損失を恐れずに負債を清算し、キャッシュを武器に自由を手に入れること。この大胆かつ合理的な決断力は、波乱の市場を生き抜く投資家にとっても、大きな学びとなるのではないでしょうか。

※本稿は『ママ投資家が育休中に1億貯めた株式投資』(ダイヤモンド社)をもとに編集したものです。