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香港が眠っている間に、レオ・リー氏はグーグル株を買っていた。
リー氏は3月25日の未明、グーグルの親会社アルファベットの株式約6940株に相当するデジタルトークンを一括購入した。専業投資家であるリー氏はトークン化証券プラットフォーム「オンド・グローバル・マーケッツ」上でこの取引を行い、取引は香港時間午前1時すぎに数秒で執行された。
この日の夜だけでなく、夜はたいてい、リー氏は香港の自宅オフィスから市場をモニターしている。彼はここで、従来の株式ポートフォリオに加え、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる超大型IT株7銘柄や金ファンドと連動するトークンで構成される600万ドル(約9億5800万円)相当のバスケットを運用している。リー氏は午前4時までにはログオフし、その後アジア市場の取引が始まるまで数時間の「細切れの睡眠」を取る。
「確かに、ワーク・ライフ・バランスなんてものは全くない。ドナルド・トランプ米大統領の政権下では、事態がたった1日のうちにさまざまな方向に進む可能性があり、なおさらそうだ」とリー氏は語った。
これが、市場がトークン化された未来だ。そこには取引終了を告げるベルが鳴ることは決してなく、投資家は静かな週末と引き換えに、決して眠らないニュースサイクルを通じた取引機会を得る。事実上、株式のデジタルアバター(分身)であるトークン化株式により、人々は24時間365日取引でき、数日ではなく数秒でそれら取引の決済を行うことができる。
米規制当局は米国人投資家によるトークン化株式の保有を認めていないが、多くの海外市場では保有が認められており、ロビンフッド・マーケッツやクラーケンなどのプラットフォームは、外国の顧客向けにトークン化資産取引サービスを提供している。米国は大きく後れを取っているわけではない。ニューヨーク証券取引所とナスダックはそれぞれトークン化プラットフォームの準備を進めている。一定の資格を満たした米国人投資家は既に、マネー・マーケット・ファンド(MMF)や私募ファンド、金のようなコモディティー(商品)といった他のトークン化資産へのアクセスが可能となっている。
多くのトークン化株式は本当の株式ではないため、従来の株主に付与されるような法的保護や権利がない。これらのトークンを売買する投資家が十分にいない場合、その価格は本物の株式の価格から大きく乖離(かいり)する可能性がある。一部の懐疑派は、プロのトレーダーが休場日に休めることから恩恵を受けているとし、24時間365日取引できる状態は燃え尽き症候群や意思決定の質の低下を招きかねないと指摘している。







