2026年2月末、トランプ政権が主導した対イラン軍事作戦をきっかけに、地政学リスクが一気に高まった。混乱局面でも底堅さを保つ米国株は「買い」か「売り」か。世界市場が揺れる中で、注目されている米国の防衛関連株は、今からでも買えるのか。米国株に精通する3人のプロに、今後の投資戦略を徹底的に聞いた。(今村光博、ダイヤモンド・ザイ編集部)
※株価や業績データは2026年3月19日時点。企業名の後の( )内はティッカー。
AIを活用した情報分析が
米軍の優位性を高めている!
(ロッキード・マーティン公式サイトより)
近年、米国と中国・ロシアを軸とする陣営との対立は一段と深まっている。2026年に入ってトランプ政権が相次いで実施したのが、1月初旬のベネズエラ作戦、そして2月末に始まった対イラン作戦だ。地政学リスクが急激に高まったにもかかわらず、当事国である米国の株価は他国と比べて底堅さを維持し、特に防衛関連株が大きく注目を集めている。中でも際立つのが、戦闘機F-35で知られるロッキード・マーティンと、AIによる情報分析で現代戦を支えるパランティア・テクノロジーズなどだ。
地政学リスクが高まり続ける今、米国株や、S&P500など米国株指数に連動する投資信託・ETFを持ち続けてよいのか。防衛関連株にはまだ上値余地があるのか。米国株投資のプロ3人に聞いた。
まずは、今回の2つの軍事作戦を振り返ろう。2026年1月3日のベネズエラ作戦では、米特殊作戦部隊が首都カラカスに展開。事前に積み重ねた綿密な情報収集をもとにマドゥロ大統領の動向を把握し、拘束に成功した。マドゥロ大統領と妻シリア・フローレス氏はその後、米国へ移送された。
続く2月28日、核開発問題をめぐる緊張が続くなか、米国はイスラエルと共同で「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」を開始した。従来の限定的な施設攻撃とは一線を画し、核・軍事インフラの広範な無力化に加え、体制中枢の排除をも目的とした大規模作戦である。開始直後の攻撃で、最高指導者ハメネイ師を含む複数の高官の排除に成功したとされる。
ベネズエラ作戦について、ニューヨーク在住のマンハッタン・グローバル・フィナンシャルの森崇さんはこう分析する。
「ベネズエラ作戦は、地政学・エネルギー・国内政治・市場安定を同時に満たすよう設計された、極めて優れた作戦だったと言われています。現代戦では爆撃よりも情報の遮断が勝敗を左右します。米サイバー軍と宇宙軍が連携し、首都カラカスを含む広範囲で電力網へのサイバー攻撃を実施。敵の司令部と現場部隊をつなぐ通信回線を遮断し、レーダーも機能しない状態に追い込んだのです」(森さん)
対イラン作戦については、むさし証券の杉山武史さんが次のように評価する。
「相手の情報を事前に把握し、どこに誰がいるかを特定できる能力があって初めて、ハメネイ師をはじめとするイラン高官への攻撃が可能になります。膨大なデータの中から位置を特定したからこそできた作戦です。まさにデータとAIが決定打となったと言えるでしょう」(杉山さん)
つまり、現代の戦争はすでに様相を変えている。爆撃や砲撃で始まるのではなく、データと通信を制した側が勝つ“情報戦”へと移行しているのだ。







