しかし、やってみると、外国語をインプットする前に、この日本語から話す(アウトプットする)内容を考えるプロセスは、大当たりでした。

 そして、もしかしたら、英語も同じ方法で最初から取り組めば、最短の道のりで話せるようになるのではないかと考え、実際にやってみたところ、英語ならではの工夫は必要だったものの、その作戦も見事にうまくいきました。

総合的な英語力を伸ばしたスピーキング・ファースト

 私は、アラビア語の研修のためにエジプトに行ったのですが、外交官はどこの国に赴任したとしても、国際共通語としての英語は必須です。そこで英語力のブラッシュアップにも多くの時間をとりました。

 ご多分にもれず、私も高校受験、大学受験、そして社会人になってからもTOEICと、英語の「点取り虫」の勉強、つまり“インプットがすべて”の勉強をしてきました。

 私は海外留学経験もないので、それまで英語を話す機会がなく、インプット中心の勉強をするほかに手段が思いつかなかったのです。そのため、英語の、なかでもスピーキングの能力はお寒い状況でした。

 そこで、心機一転、アラビア語をマスターしたやり方で、英語も虚心坦懐(きょしんたんかい)に、「何を話すか」から学び直したのです。

 英語はなまじ少しは知っているので、いきなり英語を英語で考える、いわゆる「なんちゃって英語脳」で文章を書くことも可能でしたが、思い切って日本語ファースト、スピーキング・ファーストの勉強に切り替えたのです。

 スピーキング・ファーストの勉強をやり出した当初は、自分の英語のインプット量とアウトプット量の乖離(かいり)、つまり、覚えたはずの英語が実際はいかに使えないかを痛感し、愕然(がくぜん)としました。

 しかし、日本語ファースト、スピーキング・ファーストの勉強法でその乖離をなくすことに成功してからは、スピーキングはもとより、総合的な英語力もぐんぐんと伸びていきました。

 それによって、アメリカを含め、世界で外交官として英語でも交渉を行うことができるようになったのです。