子会社の巨額架空取引を受けて記者会見を開いたKDDIの松田浩路社長 Photo:JIJI子会社の巨額不正会計を受けて記者会見を開いたKDDIの松田浩路社長 Photo:JIJI

「存在しない広告」で2461億円もの売り上げを計上した、KDDI傘下ビッグローブの子会社による巨額架空取引。たった2人の社員による循環取引が、なぜ7年間もバレなかったのでしょうか? 会社側の調査報告書には、不正を見逃した原因として“それっぽい一文”が記されています。しかし危機管理のプロから見ると、その言い訳にこそ異常なガバナンスと「致命的な病巣」が透けて見えます。(ノンフィクションライター 窪田順生

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“社内地面師”を生んだ
ガバナンスの致命的欠陥

「存在しない広告」の取引を7年も続け、騙しに騙して帳簿上に築いた偽の売り上げはなんと2461億円――。

「サラリーマン版地面師」とでも言うべきあまりに大胆な手口に衝撃を受けた人も多いのではないか。KDDI傘下、ビッグローブとその子会社で発覚した「循環取引」のことである。

 すでに多くのニュースで取り上げられているのでご存じの方も多いだろうが、日本の企業不正の中でも過去最大級の循環取引を行っていたのは、2人のサラリーマンだった。

 ひとりはビッグローブの子会社でジー・プランの「ソリューション営業ビジネス部長 兼 同部アライアンスチームチームリーダー 兼 事業推進チームチームリーダー」とやたらと権限が集中していたaという人物。そしてもうひとりが、aの部下にあたるbだ。両者は既に懲戒解雇されている。

 この2人はありもしないネット広告依頼をでっち上げて、上流広告代理店から広告掲載業務を受注、それを下流広告代理店に発注してその費用を上流広告代理店に戻すというサイクルをグルグルと回すことで売り上げを立てていた。同社の広告代理事業の売り上げの99.7%がこのような「循環取引」だったというから驚きだ。

 さて、このような「地面師」も真っ青の大胆な手口を聞くと、善良なサラリーマンのみなさんは「なんでそんなことが7年間もバレずに続けられたの?」と首を傾げるだろう。