SNSやフリマサイト、ショッピングサイトを見始めるとあっという間に数時間溶けている。「限定品!」「今だけの特別価格!」などの言葉に踊らされて、そこまで必要がないものまで買ってしまい、後悔したことがある人も少なくないのではないだろうか。そんな人におすすめの本がある。書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書の発売を記念して、ライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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「頑張った自分」を証明したくて、高級時計を買った日
30歳でニートになり、海外を1年ほどぶらぶらしていたころ、ふらりと高級時計店に入ったことがある。
もちろん、買うつもりはなかった。というより、買えるはずもなかった。当時は定職もなく、現地でのんびり暮らしていた。
時計を腕に通してもらうと、ずしりとした重さがあった。文字盤を間近で見ると、思わず見入ってしまう。冷やかしのつもりが、すっかり本気になってしまった瞬間だった。
日本に帰国して、就職し、働き始めて2年が経ったころ、ようやくその時計を買うことができた。
自分には分不相応じゃないかという迷いもあったが、これで時計を買うのは最後になると、そのときは本気で思っていた。
買っても買っても物欲が満たされない、本当の理由
神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍するキム・ソクチェ氏は、著書『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』でこう述べている。
私たちは、モノそのものよりも、それが持つイメージや意味に惹かれて買ってしまうことが多い。だから欲しいものを手に入れても、どこか満たされないままになる。
言われてみれば、あのとき私が欲しかったのは時計だけではなかった。海外でふらついていた自分が、「働いているちゃんとした人間」になれた証のようなものが欲しかったのだ。
結局、また別のものが欲しくなる
購入してから3年くらいは、出かける日はほぼ毎日つけていた。
時計はもう買わないと思っていたのに、健康への関心が高まり、スマートウォッチを買ってしまった。
結局また、別のイメージに引き寄せられたのだ。気づけばあの高級時計は、結婚式のときくらいしかつけなくなっていた。
満たされたと思っても、しばらくするとまた別の何かが気になり始める。
結局、人は何かを求めて買い続ける生き物なのかもしれない。
『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』はそんな脳の厄介な仕組みを、丁寧に言語化してくれる。
物欲に振り回されていると感じたとき、自分が何を求めているのかに気づかせてくれる一冊だ。
(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』に関する特別投稿です)









