気づけばスマホばかり見ている。動画、SNS、ゲーム、ニュース、買い物…見始めてるとあっという間に数時間溶けている。「一度きりの人生なのに、スマホばかり見ていていいのか?」――そんなふうに立ち止まりたくなった人におすすめの本がある。書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書は神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍する著者が、「自分の感情や欲望に振り回されずに生きる方法」を、脳科学・心理学・哲学の視点からわかりやすく解説した一冊。本記事では本書の発売を記念して、その内容を一部抜粋・再編集して紹介する。
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さびしすぎるから「購入する」をクリックしてしまう?
さびしさを感じるとき、人は本能的に他者とのつながりを求めます。
友人に電話をかけるなど直接コミュニケーションを取る方法もありますが、ネット社会になった今、意外にも多くの人たちがショッピングアプリを開いているのです。
手っ取り早く気を紛らわすことができるでしょうが、本当にそれでさびしさは解消できるのでしょうか?
「良好な人間関係」の代わりに「消費」している
ハーバード大学の卒業生と貧民街出身の人々の人生を80年以上にわたって追跡した、有名な「幸せの研究」があります。
そこから導き出されたのは、幸せと健康を決定するもっとも大きな要因は「良好な人間関係」であるという答えでした。
手軽に買い物ができる現代社会では、この大切な「良好な人間関係」が占めるべき空間を、消費に奪われているのが実状です。
さびしさをモノで埋めようとすると、良い人間関係からさらに遠ざかる
心理学者ティム・カッサーは、豊かさをモノではかる物質主義とさびしさの関係をこう説明しています。
「さびしさは物質主義を育て、物質主義はますますさびしさを意識させるという悪循環を育てる」
つまり、さびしさを埋めようとモノに頼れば頼るほど、本当の人間関係から遠ざかってしまうというわけです。
「さびしさを感じやすい人ほど、ショッピングサイトに長く滞在する」という報告も
数クリックで即座にドーパミンが得られるオンラインショッピングは、この流れをいっそう加速させています。
「さびしさを感じやすい人ほど、そうでない人に比べてショッピングサイトに長く滞在する傾向がある」という報告もあります。
このさびしさとショッピングのつながりは、SNSと結びついたときにピークに達します。
周りの人の楽しそうな日常を見て「みんな楽しそうなのに自分は……」と不安になり、そのむなしさを買い物で埋めようとするのです。
「さびしい→購入」の悪循環を断ち切る方法とは?
「人とのつながりへの渇望」が「“購入する”ボタンのクリック」に変わった途端、消費は増え、孤独は深まるばかりです。
この悪循環を断ち切るには、「モノ以外に意識を向けること」です。
ショッピングアプリを開きたくなったら、部屋の片づけをしたり、友だちにメールしてみたり、外に出て軽く散歩してみるのもいい方法でしょう。
消費欲とはそれだけでかなり解消されるものです。
「つながるための空白」は、モノでは埋められないという事実を忘れないでください。
(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』から一部抜粋・再編集した記事です)









