気づけばスマホばかり見ている。動画、SNS、ゲーム、ニュース、買い物…見始めてるとあっという間に数時間溶けている。「一度きりの人生なのに、スマホばかり見ていていいのか?」――そんなふうに立ち止まりたくなった人におすすめの本がある。書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書は神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍する著者が、「自分の感情や欲望に振り回されずに生きる方法」を、脳科学・心理学・哲学の視点からわかりやすく解説した一冊。本記事では本書の発売を記念して、その内容を一部抜粋・再編集して紹介する。
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ポケットの中の非常口、スマートフォン
スマホは今や「現実逃避への入口」です。
電車やバスの中、会議中、ひどいときにはトイレの中でだって無意識にスマホをのぞいています。
これは単なる習慣などではなく、気持ちだけでも現実から離れたいという欲求や、退屈、不安といったマイナス感情を回避するための心理的な自動反応です。
ストレスや孤独、退屈から逃れるためにスマホを見ている
心理学における「回避行動」とは、不安を意図的に避けようと別の行動をとることです。
ストレスや孤独、退屈といった感情がわき上がると、人は何かを「確認する」行為を繰り返すことで、それらの感情と正面から向き合うことを避けようとします。
逃げている瞬間は感情が消えたように思えても、実際には一時的に隠されただけ。根本的な問題は何も解決されていません。
つまり現代人にとって、スマホはまさに完璧な「感情回避装置」。
大事な商談前のプレッシャーに耐えかねてスマホを手に取りSNSをスクロールするのも、けんかした後に感じる気まずさを動画視聴やネットショッピングで紛らわせるのも同じ。
どれも不安は一時的に隠れますが、結局は問題解決にならないどころか、やり場のない感情をさらにこじらせるだけです。
スマホばかり見ていると、「自分の気持ち」がわからなくなる!?
こうした感情回避の繰り返しがもたらす心理的な影響のひとつが、自分の気持ちや価値観などを把握する力の低下、つまり「自己認識力の低下」です。
「自分は今どんな気持ちなのか」という問いかけに対する明確な認識が薄れると、心の中で起こっている混乱や不安にうまく対応できなくなり、自己統制力を発揮することがますます困難になっていきます。
セルフマネジメントの要は「自分の不安と向き合うこと」
つまるところ、セルフマネジメントにおける重要課題は、「不安な感情と向き合う勇気」です。
今すぐスマホ断ちせよと言っているのではありません。
まずは、スマホをスリープ解除するたびに、「私は今どんな気持ちだろうか?」と考える習慣をつけてください。
(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』から一部抜粋・再編集した記事です)









