ドイツの大手製薬会社、ベーリンガーインゲルハイム(BI)は、2010年に株式の公開買い付け(TOB)でエスエス製薬を完全子会社化して、3年間が経過した。その後、BIグループ全体の経営はどうなったか。日本国内のホールディングカンパニーであるベーリンガーインゲルハイムジャパン社長で、エスエス製薬会長でもある鳥居正男氏に聞いた。

1947年神奈川県生まれ。日本ロシュ常務、ローヌ・プーランローラー、シェリング・プラウの日本法人社長などを経て、2011年1月にベーリンガーイン ゲルハイムジャパン社長のほか、日本ベーリンガーインゲルハイム、エスエス製薬、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン、ベーリンガーインゲルハイム製薬の4社の会長に就任。11年9月~12年6月はエスエス製薬の社長を兼務 Photo by Kazutoshi Sumitomo

――2012年のベーリンガーインゲルハイム(BI)グループの業績は堅調でした。

 グローバルも国内も、それなりに満足な結果を残した1年と言えるでしょう。グローバルの売上高は前年比11.5%増と2桁成長。売上高に対する研究開発費の比率も22.5%と、世界の製薬会社のなかでも高い水準を維持しています。特に、海外では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬「スピリーバ」の伸び率が高く、4000億円を超えました。11年に発売した血液凝固阻止剤「プラザキサ」も初めて1000億円を超え、いわゆるブロックバスター(大型新薬)になりました。動物薬事業も初めて1000億円を超えました。

 日本国内も医療用医薬品事業は、12年の医療用医薬品市場が7%にとどまるなか、7.3%の成長を果たし、初めて2000億円を超えました。1000億円を超えたのは05年だったので、7年間で2倍以上になった計算となります。中でも、アステラス製薬と共同販促している降圧剤「ミカルディス」(配合剤を含む)は、1000億円を超え、ブロックバスターとなりました。これまで日本市場では、売上高が1000億円を超える新薬は、日本には9品目しかありません。

 10年7月から連続35ヵ月間、対前年の市場の伸びを上回っています。業界での伸び率をみると、11年は2位、12年は5月までの累計で3位。国内の売上高ランキングでは、11年が16位、12年が15位、今年は1~5月までの累計で14位まで上がってきています。

 動物薬事業は、12年は日本市場が横ばいと低迷するなか、われわれは出荷ベースで約6%伸びました。今年の2月からはペット用医薬品の発売を自販に切り替えました。