石井 でも一流の上司になると、自分より能力が高い部下を使いこなせます。その指示方法が「私はこれがしたい。で、君にどう指示したら最高の仕事してくれる?」って聞くわけです。
そうすると部下は自分で考えてくれる。結果的に「めっちゃいいじゃん」「これ思いつかなかったわ」というアウトプットが出てきます。
AIもこれと同じようなことを言っていたんです。「やりたいことを本音で話してくれたら、私が一番能力を発揮できるプロンプトを返します」って言うんですよ。
その通りに聞いてみると、本に載せたようなプロンプトが出るわけです。「ほう、複数のステップが必要だと思っていたけど、この1文でいいのか」といった感じで驚くわけですが、そのプロンプトを試すと、ちゃんと理想のアウトプットが出るんですね。
ということで、自分以上の能力を持った部下を使いこなせる人が、AIもうまく使えるとも言えます。
僕がいた商社には、自分にはない提案を部下から引き出せる上司がたくさんいました。彼らのスキルって、AI使うための最大の武器になると思うんです。新人たちは、これを先輩や上司から学ぶといいと思います。
ということで、よく講演でこんな話をしています。上司に誘われた飲み会では、「自分以上に優秀な部下と仕事したことあります?」「その部下の能力をどうやって引き出したんですか?」と聞いてくれと。
するとつまらない飲み会も、自分のAI活用能力の向上のためになるんです。
必要なのは「ディレクション」ではなく「オリエンテーション」
石井 加藤さんはたいへん優秀な方ですけど、自分以上に優秀な部下っていたことありますか?
加藤昌治(以下、加藤) ぜんぜん優秀じゃありませんので、チームメンバーには助けられまくりでした。
石井 どんなふうにして彼らの能力を引き出してきたんですか?
加藤 引き出せたのかどうか。そう思いたいけど、正直わからないです。
自分なりに大事だと考えていたのは、オリエンテーション。ディレクションもさることながら、業務の起点にあるオリエンテーション。
ディレクションとは指示ですから、自分のイメージ通りに仕上げてほしい感が出てしまいます。それとは違ってオリエンテーションは大まかに方向性を示して、後は任せることかと。
すると多くの場合、アウトプットは自分の思っている通りじゃないものが来ますよね。良い意味で予想外の。
石井 なるほどね。こちらのイメージを裏切ってほしいみたいな。
加藤 そう。裏切ってほしい。
しかしオリエンテーションってとても難しい。自分的には答えがありません。心理的安全性みたいなものだけで十分かと言ったら、そんなこともなくて。



