部下を潰す上司は「指示」を出し、活かす上司は「問い」を投げる

石井 大きな方向性を示して、「具体的にはこんなものがあるけど、これではない、俺の予想を超えたものを出してくれよ」みたいな指示が大事なんですね。それ、どうやって伝えるんですか?

加藤 だから、わかんないんですよ(笑)。

 それこそ具体例を出してしまうと、それに引っ張られるかもしれないですしね。「上司が具体例(≒理想像)を持っているんなら、それでいいじゃない」と受け止められてもナンだし。

 1つあるのは、「答え(≒指示)」を与えるのではなく「問い」を与えるのが大事だなとは思います。提案の幅を担保するというか。

石井 ある人は、それに近いことを「起点を作る力」と呼び、それがこれからの人間の仕事だと言っていました。たしかに「問いを立てる」ことは、「起点を作る」ことと本質的には近いなと思います。

 会社から「今回はここが起点だ」と言われたとしても、それに対して「ここが起点でいいのか?」と疑問を持つ。そして、本質的な「問い」を見抜いて、その問いの形で部下に手渡せる人が、きっと優秀な部下の能力を引き出せる人なんでしょうね。

(本稿は、書籍『AIを使って考えるための全技術』著者の石井力重さんと、監修者の加藤昌治さんによる対談をもとに作成したオリジナル記事です。

石井力重(いしい・りきえ)
アイデアプラント代表
早稲田大学 非常勤講師(デザイン論)。日本創造学会 元理事およびデジタル推進委員会 委員長。東北大学大学院修了後(理学修士)、ハイテク専門商社に5年勤務。同大2つの大学院(工学、経済学)博士後期課程にて創造工学を研究後に退学。新エネルギー・産業技術総合開発機構のNEDOフェローとして大学発ベンチャーに3年駐在。2009年にアイデアプラント設立。創造工学の研究、ブレインストーミング・ツールの開発、アイデアソンのデザインとファシリテーション、創造研修などをしている。研修を実施した企業、教育機関はこれまでに600以上で、のべ2万人以上が参加。実施企業は、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなど。
加藤昌治(かとう・まさはる)
1994年広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』『チームで考える「アイデア会議」 考具 応用編』『アイデアはどこからやってくるのか 考具 基礎編』(すべてCEメディアハウス)、『仕事人生あんちょこ辞典』(角田陽一郎氏との共著、KKベストセラーズ)など、ナビゲーターを務めた書籍に『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社)がある。